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中川晃教

2019年2月12日 (火)

中島みゆきリスペクトライブ2019「歌縁」 2/11 17:00

@いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール
1階11列センターブロック

研ナオコ 中川晃教 半崎美子
由紀さおり LE VELVETS(五十音順)

LE VELVETS
・旅人のうた
・麦の唄
・銀の龍の背に乗って
半崎美子
・怜子
・命の別名
・ホームにて
由紀さおり
・帰省
・雨...
・糸
中川晃教
・宙船
・化粧
・ファイト!
研ナオコ
・合わせ鏡
・わかれうた〜地上の星(ひとみ)
・かもめはかもめ
全員によるアンコール
・時代

両親は家でCDをかけたりすすんで音楽番組を見るようなタイプではなかったので、私と中島みゆきさんの歌の出会いはテレビドラマ『家なき子』だったと思います。自分が好んで聴くようなものとは違って「なんだこれは?」と衝撃を受けたことを覚えています。
15年ぐらい前にミスチルの桜井さんがBank Bandとしてカバーした「糸」や、大人になって年上の人とカラオケに行ったりする機会があり、何曲も彼女の歌を知りました。

この「歌縁」は、今年で4回目だそうですが男性が歌うのは今年からだそうです。アッキーはいわきだけの参加。

「宙船」は中島みゆきさんがTOKIOに提供した曲。
彼女が歌ったバージョンも音源で聴いたことがありますが、これはもうTOKIOのもの、長瀬くんのワイルドな男臭いイメージと結びついてしまっている。
でも、歌詞を読むとどこか高みから「おまえ」に向かって鼓舞している見えない存在に気づかされます。アッキーが歌っているのを聴いて、これは男の物語でもあり、もっと大きな力の物語でもあるのだと分かりました。かっこよかった!

初めましての方にも、誰でも知っている曲でご挨拶した後は、私が楽しみにしていた異性歌。歌の主人公が女性であり、女性目線で描かれる歌詞をアッキーが歌うこと。
女心を歌うアッキーを想像できなさすぎ。

でも”男に最後のさよならを言いにいくため、化粧をしてかわいくなりたい”と歌う「化粧」(1978年発売)の歌詞は、今の女子のマインドとは正反対だなと思いました。
40年が過ぎ、女性が化粧をするのは「相手にどう見られたいか」ではなく「自分がどうありたいか」という在り方に変化しました。化粧は武装であり自分にとってのカンフル剤で、自分を元気づけるためにするもの。
それから、自分のことを「バカだ」と卑下するのも今を生きる女性の姿勢とは相容れないものですよね。
ただ、「流れるな涙 心で止まれ」と強がるところは非常に共感するし、アッキーの歌い方が優しくてスッと心に染み入りました。

もし今度またアッキーが「歌縁」に参加することがあれば、もっとドロドロした女性の心理を歌ってみて欲しいけれど、現代では「うらみ・ます」のように、強い負の感情を相手に対して持つことは稀なのではないでしょうか。
人の感情は洋の東西を問わず、今昔を問わないと思っていたのですが、女性の目線で書かれた中島みゆきさんの歌を中島みゆきさん”以外”、そして男性の声で聴くと、時代性が如実に感じられるというのは面白い発見でした。

圧巻だったのは「ファイト!」。
小さくても1人でも、自分に負けそうになっていても、それでも闘おうとしている人に寄り添っている曲。
1曲目の「宙船」では「おまえ」と歌っていながら、メッセージは全方向に向けて「進め!」と解き放たれているように感じました。
一方、「ファイト!」の対象は対個人。自分だけのために歌ってくれているような近さとホールを圧倒する力強さが1曲の中で、そして中川晃教という歌い手の中で両立していました。凄かった…としか表現できない。

間奏はツインギターかと思ったら片方はアッキーの声(よくある)だったり、驚異のロングトーンでのフィニッシュはまったく中島みゆきさんとは異なるもの。
歌い終わった後、観客の男性から「ブラボー!」の声がかかったのですが(他の出演者も含めてもこの1回のみだったと思います)、それが思わず叫ばずにはいられないといった勢いを感じられたので、アッキーの歌が彼の心に響いたのだと思うと、「歌を届けたい」というアッキーの願いは叶っているのだと嬉しく思いました。


トップバッターのLE VELVETSはグループの強みを生かして力強い曲調の3曲を。歌割りによって、ソロ、ハモリ、ユニゾンと声の重なりのダイナミックさを堪能できました。シュガりんが福島県(喜多方市)出身ということで、ご自身の実家のラーメン屋さん(さくら亭さん)を熱烈にPR(笑)

“ショッピングモールの女王”こと半崎美子さん。テレビで特集されたのをチラッと見たことがあります。ご自身も大の中島みゆきさんファンであり、北海道出身の女性シンガーソングライターという共通点があります。
今回に関しては、みゆきさんの歌の世界観を120%以上知り尽くし、それを観客に伝える媒介者として歌っているような憑依系のシンガーだと思いました。素晴らしかった!

「糸」は”あなた”と”わたし”の小さな話なのに、由紀さおりさんが歌うと「みんな」の歌になっているように感じました。MCで「スタンダードというものは向こうが手を広げて”さぁ どうにでも料理してちょうだい”と言っているような歌」(意訳)とおっしゃっていたけれど、50年間大衆に愛されている歌手としての存在感は歌の持つキャラクター性も変えてしまうのだなぁ。

研ナオコさんは中島みゆきさんからたくさん曲を提供してもらっていますが、飛行機の中でみゆきさんのデビュー曲を聞いてビビっと来てすぐに曲の依頼をしたのが最初なのだとか。「かもめはかもめ」生で聴いちゃったー!

アンコールはまさかのアッキーが司会!
研さんにいろいろ混ぜっ返されながらも、時間を管理しつつ各メンバーに話を振ったり。誠実に、チャーミングにやり遂げました。
お疲れ様でした!!

2019年2月11日 (月)

中嶋朋子が誘う「音楽劇紀行〜第六夜〜」 2/2 14:00

@Hakuju Hall
E列

サラ・オレイン 中川晃教
三宅理恵 加耒徹
中嶋朋子(案内人・ナレーション)
加藤昌則(音楽監督/ピアノ)
田尾下哲(総合プロデューサー)

プログラムを撮影↓

(写真に影が出来ているのはご容赦を)
アッキーが歌ったのは
・「歴史があなたを見ている」(『ハミルトン』より)
・「世界が終わる夜のように」(『ミス・サイゴン』より with サラ・オレインさん)
・「きっとどこかに(Somewhere)」(『ウェストサイド物語』より)
・「君の瞳に恋してる」(『ジャージー・ボーイズ』より)


第六夜まで数えたこの「音楽劇紀行」。アッキーは第一夜以来の出演です。第一夜は確かチケット落選してしまったんですよね、私。というわけで最初で最後の参加です。
今回のテーマは「バロック・オペラからミュージカルへ〜音楽劇の歴史を追う〜」。
というわけでミュージカル界からアッキーが登場。
本篇のオープニングとエンディングをアッキーが務めたのですが、第六夜のテーマとシリーズを総括する存在としてキャスティングされたのは、歌い手として、またミュージカル俳優としてその場に相応しいと評価していただけたということですよね。
というか、むしろ、モーツァルト作品があり、『サムシング・ロッテン!』を想起させるような時代背景やミュージカル作品があり、アッキーがいてこその、この”第六夜”になったのだと思ってしまう構成でした。

最先端のミュージカルから『ハミルトン』の「歴史があなたを見ている」は、スローなR&B調の短い曲ですが、その中で”Who lives, who dies, who tells your story”という歴史の作られ方を歌っています。物語る者がいなければ歴史ではない。
その”物語る”という役割の一部を音楽家たちが担っていた時代がある。だから、この曲がオープニングに選ばれたのだと思いました。

案内人の中嶋朋子さんの語りに続いて、歌で世界観に自然に引き込む。それは自分の最善を尽くす方向と作品(ゲスト出演などで)として求められるポジションをピッタリと調整出来るアッキーだから出来ることだと思いました。

サラさんとは、彼女が金沢で行ったコンサートで共演しているのですがこれも私は行けなかったので初めて聴きました。
『ミス・サイゴン』のキムというキャラクターとサラさんとはおそらく真反対にいると思うし、アッキーのニンとしても(歌舞伎じゃなくても使っていいのか分からないけど)クリスではないのですが、力一杯愛を歌うというより甘やかな旋律に乗せて2人の喜びと優しさが伝わってくるようで素敵なデュエットでした。

アッキーの「Somewhere」は数回聴いていますが、確信に満ちているところが好き。
シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』をニューヨークの移民たちの境遇に置き換えたのが『ウェストサイド物語』ですが、『サムシング・ロッテン!』で散々ネタにした後で見るから何だか変なところで面白かった、というのはたぶん見た人の共通認識だと思います(笑)

「君の瞳に恋してる」は他の人の歌唱も含めて、このコンサートで唯一日本語詞が入った曲でした(1番が英語、2番以降が東宝版訳詞)。
『ジャージー・ボーイズ』は、ミュージカル作品として読売演劇大賞の最優秀作品賞を受賞した初めての作品であり、その主演。
ある意味、日本で上演された音楽(を使った)劇のひとつの到達点であり、日本語で歌うことに意味があったのだと思います。
また、ミュージカル界の歴史と今、そしてこれからを感じさせるポップスとの融合という意味で、誰もが知っている「君の瞳に恋してる」がラストを飾るのは当然だったのかもしれません。
ゆるやかなスウィングジャズ調にアレンジされた「君の瞳に恋してる」は温かく会場を包み込んでいて、この「音楽劇紀行」を素敵に締めくくったと思います。


クラシックを専門とする三宅さんや加耒さんは頭の上から自分の体内で声を響かせているイメージ、サラさんやアッキーは音として声を前に出しているように感じました。異ジャンルの交流は好奇心を刺激されて面白いものですね。
また、マイクの有無で声と響きの印象はまったく違うものになるというのは東京文化会館もそうですが、音響効果の良いHakuju Hallならではだったと思います。

アンコールには、あらゆる西洋音楽の源泉となる「グレゴリオ聖歌」の世界から、本篇を復習するように”○○風”な作風(バロック、モーツァルト、ロッシーニ、オッフェンバッハ等々)をパロディにして繋ぎ、壮大な組曲「音楽劇紀行」が披露されました。
冒頭、客席の後ろから、何もかもを浄化するような澄んだ美しい歌声。「天使の歌声」は伊達じゃなかった!
あの瞬間は何物にも代え難い至福のひとときでした。

NHKの「世界ふれあい街歩き」で中嶋朋子さんのナレーションをよく聴いてたので「音楽劇紀行」の案内人役も私の中のイメージとピッタリでした。
バロックの時代から、オペラやミュージカルがどのように発展していったのかを「見てきたように」話す案内人ぶりがチャーミング。特に、様々な見世物興行を取り入れて華やかになっていったブロードウェイとシェイクスピアの流れを汲みよりストーリー性に重きを置いたウェストエンドという説明にはすごく納得がいきました。
しかしまさか、しょっぱなからピアニストがボケて(椅子の高さが合わないぞ?→ガタン!)、中嶋さんが「皆さんこんばんは、私はマリア・カモメ」という高度なギャグをかますとは思いませんでした(笑)
また新たな紀行に誘っていただける日が来ることを楽しみにしています。

2019年1月26日 (土)

中川晃教コンサート at 東京文化会館 2019 1/25 19:00

@東京文化会館
L列 20番台

中川晃教(Vo.) 園田涼(Pf., Cho.)


Long Story
Save Our Souls
相対性理論
ミケランジェロ
VISION
LOVE NEVER DIES
Amazing Grace ※
明日に架ける橋 ※
I have nothing
What Are You Afraid Of
チャイナガール
谷間の風
<アンコール>
砂漠
※はスタンダードナンバー、カバー曲

1日を通してどんよりと曇り空で北風が強く寒かった東京。
1曲目の「春」は、そんな外とは別世界の美しい春でした。
桜が咲く頃はまだ少し寒い。でも陽射しは確実に冬とは違って、草木は色味を帯び、街行く人の服装にも明るい色が増えてくる。
“ようやく君に会えたね” 寒い冬があるから感じること。

それが、コンサートの始まりにピッタリ。
“ようやく会えた”というには、私個人としてはアッキーをたくさん見ているのですが(笑)、東京文化会館でのコンサートは2017年11月ぶり。

「このホールの響きが大好き」と何回も言っていたけれど、「春」では、その響きを確かめるように、愛でるように、味わうように、共有するように歌っていました。
確かにそこに歌声があって、綺麗な照明と相まって春の景色を見せられているような、暖房ではない暖かさも感じるような...聴覚以外もフル稼働した気分。

遅れて入ってきた観客を着席させるために長めにMCを取りました。
アッキーは「咳をするのも、飴を舐めるのも、水を飲むのも”音”の一部だから、自由にどうぞ」(意訳)的なことを言っていて、私は周囲の咳の音にピリピリしていたのですが、この発言で彼の覚悟と自信を垣間見た気がしました。
「楽しんでくださっている気持ちも(ステージに)伝わる」というようなことも言っていて、もちろん雑音は出さない方がいいのだけれど、アッキーは客席とのコネクトを何より大切に思ってくれているのだと思いました。

「Long Story」「Save Our Souls」「相対性理論」は音源化されていない楽曲で、コンサートを通して熟してきた曲。
園田涼くんのピアノは音数が多くてもどこか柔らかく、この3曲の歌詞はけっこうストレートな表現が多いのですが、それを丸く優しく仕立てているように聞こえました。とても良いバランス。
で、そろそろCDになりませんかね???

次の「ミケランジェロ」は、国立西洋美術館で開催された”ミケランジェロと理想の身体”という企画展示のために、江國香織さんが作詞し、園田涼くんが作曲したテーマ曲。それをアッキーが歌っています。
(アッキーがMCで言っていましたが、なんとコンサートに江國さんがいらしていたようです)

園田涼くんとアッキーのファーストコンタクトは、アッキーが石井一孝さんのコンサートにゲスト出演したときで、園田くんがシンセサイザーとして参加していたそうなのですが演奏で絡んではおらず。
その後、アッキーのサントリーホールでの15周年コンサートでがっつり共演し、メル友になったのだとか。

「なんで『ミケランジェロ』を僕にオファーしてくれたんだろう?」というアッキーに、「僕がアッキーさんのファンだから」と答える園田くん。仲良し。

アッキーは、なぜかマイクを通さないでこの曲の前のMCをしていたのですが、それには理由がありました。客席にお客さんが入った状態での声の響き方を確認していたのだと思います。
なんと、「ミケランジェロ」をマイクレス、肉声で届けてくれました。

響きの良いこのホールだからこそ出来るチャレンジだと思いますが、クラシックの発声とは違う方法でホール全体に歌詞をはっきり聞こえるようにマイクレスで歌うということは、素人が考えてもかなりのテクニックを要するものだと思います。
繰り返し出てくる「かえるたち ひつじたち」というフレーズをスタッカートで歌ったり滑らかに歌ったりと変化を持たせて、曲がいっそう豊かな雰囲気に。
ミケランジェロが刻んだダビデ像の生々しい肉体美と江國香織さんの書いた自然とともに生きる歌詞、それが肉声だからこそダイレクトに生(ナマ)の質感を伴って伝わってきました。

そして、「VISION」〜「明日に架ける橋」を一気に。
歌い終わった後に、アッキーが「組曲みたい」って言ったのだけれど、私もひとつのシリーズのように感じました。
生きていくことは愛し愛されること、時には黒い感情を持つことを歌ったのが「VISION」と「LOVE NEVER DIES」、苦しみの中でもあなたには手を差し伸べてくれる環境や寄り添ってくれる人がいるというのが「Amazing Grace」と「明日に架ける橋」でしょうか。
凄まじいエネルギーだった前半2曲と、優しさと慈愛を感じた後半2曲の構成の妙。

セットリストはかなり悩んだと話していましたが、”今の中川晃教”を伝えるということは、彼にとって自分と深く対話することなのかもしれません。私には想像することもできないけれど。

園田くんがところどころコーラスで参加してくれたのですが、リハーサルでいちばん時間を要したのが園田くんのコーラスだったそう。「アッキーさんのスタッフさんたち、厳しいんですよ(苦笑)」
アッキー曰く「コンポーザーでピアニストで、ボーカルも出来たらすごくない?」ということで、いつか園田くんのプロフィールに「歌を中川晃教に師事」という一文が加わるかもしれません(笑)

「LOVE NEVER DIES」の間奏には「G線上のアリア」、「Amazing Grace」の前奏には「主よ人の望みの喜びよ」というバッハの曲がアレンジで使われましたが、園田くんはジャズ畑出身で、クラシックは今もレッスンに通っているのだとか。
中学時代は憧れのジャズピアニスト・小曽根真さんの演奏CDを耳コピして楽譜に起こしたりしていたそうですが、それで東大に入っちゃうってどう考えても変態だし天才だわ…。

アッキーが「どういう感じがジャズなの?」というコンサート恒例のムチャ振りで即興セッション(「アイスの歌」)から、「I have nothing」へ。
大人っぽく、でもセクシー成分は少なめだったのはジャズの軽さを感じたからかな?
ガンガン攻めていく「What Are You Afraid Of」はボルテージが上がりました。
アッキーのコンサートは同じ曲でも毎回違ったものになるけれど、特に今回は「チャイナガール」に驚きました。スタンドマイクで歌ったので動きはほぼないのに、1人の女性の物語になっていたというか、ものすごく演劇的に仕上がっていたように感じました。

そして、「東京文化会館といえば『谷間の風』なんです」と観客の「?」をかっさらいつつ、最後の曲に。
直前の3曲でヒートアップした空気をカームダウンさせて、このコンサートは終わりだよとプレゼントにリボンをかけて包み込むような本編のエンディング。

アンコールに応えて出てきてくれたとき、「自分の曲には月とか空とか出てくることが多いなぁと歌いながら思感じていて、それを見つけたときの気持ちを共有したいなぁと思って最近ではツイートしたりしているのだけど、やっぱり思いを共有出来るのはコンサートという場所で直接歌を聞いてもらうことだと思う」(意訳)と始めて、「ミュージカルとかいろいろやらせていただいているからこそ、歌を歌っていきたい」ということ、そして「今日来ていただいてありがとうございます」と何度も何度も繰り返していました。
中川晃教という人は、歌に対して、客席に対して、どこまで真摯に向き合うのだろう。

「砂漠」というタイトルのイメージとは真逆の、透き通っているけれど温かい歌声でホールが満たされました。

園田涼くんが黒いパンツに黒に鈍いシルバーの模様が入ったシャツ、アッキーは白いパンツに黒のインナー、黒い線の模様が入った白いロングタイプのシャツのようなコートを羽織った衣装。
2人で合わせたわけではないそうですが、デュオとして完璧な出で立ち。
このコンサートを通して2人で自在に音を楽しみ、信頼し合い、高め合う様子が伝わってきました。
同年代のアーティスト同士、また素敵なコラボレーションがあることを楽しみにしています。

2019年1月14日 (月)

サムシング・ロッテン! 1/14 12:00

@オリックス劇場
S席 1階2列目 センターブロック

ニック・ボトム: 中川晃教
ウィリアム・シェイクスピア: 西川貴教
ビー: 瀬奈じゅん
ナイジェル・ボトム: 平方元基
ポーシャ: 清水くるみ
トーマス・ノストラダムス: 橋本さとし
青山郁代、池田紳一、井上花菜、
可知寛子、小暮キヨタカ、小山侑紀、
坂元宏旬、高橋卓士、高原紳輔、
竹内真里、常住富大、丹羽麻由美、
伯鞘麗名、福田えり、辺田友文、
横山敬、横山達夫

演出・上演台本: 福田雄一
脚本: ケイリー・カークパトリック、
ジョン・オファレル
作詞・作曲: ウェイン・カークパトリック、
ケイリー・カークパトリック

まさしくこの『サムシング・ロッテン!』の脚本や作詞作曲もそうなのだけれど、BWとかWEの作品や昔のポップス(これは『ビューティフル』の範疇かな)では、友達、同志、きょうだい、恋人、夫婦etc...いろんな形のパートナーが共同でクリエイターとしてクレジットされています。
ボトム兄弟はきっとその走りなんだなー。
ニックに出来ないことをナイジェルが、ナイジェルに出来ないことをニックが、そうやって2人はアメリカで楽しく暮らしていってくれればいいな。

ビーもポーシャもノストラダムスも、そしてシャイロックも、新しい世界で新しい生き方をして欲しい。
登場人物ひとりひとりがとても愛おしくなりました。


「まこと」であることは、人としてとても大切なことだと思うけれど、「まこと」だけでは社会は渡ってはいけない。
やりたくない仕事をして、下げたくもない頭を下げ、どうにか生活を成り立たせる。
ニックは劇団の代表者として、また、家長して、多くの人たちのために頑張ってきた。
いや、むしろ、ニックにとって「まこと」とは、家族と劇団の仲間たちを守ることなのかもしれない。

ニック:「シェイクスピアのことを嫌いなのは(名声を得た)シェイクスピアに憧れているから」→ シェイクスピアのように有名になれば周りからチヤホヤされてお金がいっぱい入ってきて家族に良い暮らしをさせてあげられる。だから、予言者に頼ってシェイクスピアの作品をパクる。

一方、シェイクスピアは大衆の要求に応え続けなければならないというスーパースターの宿命を背負っている。彼らのために書いて書いて書き続けなければならない。

シェイクスピア:「書くことで有名でい続けることは大変だけれど、有名でいることの方が楽しい」→ だから、ナイジェルのアイディアを盗んででも作品を書き続ける。

シェイクスピアはニックを「腐ったタマゴ」と糾弾するけれど、シェイクスピアも似たようなもの。
誰だって心の中には多かれ少なかれ腐った部分があるはずなのだ。

ナイジェルがあんなにピュアなのはニックが彼のためにあらゆる敵をブロックしてきたおかげで、「まことであれ」と言えるのも、過酷な現実を見ないで済んでいたからなのだろうな、と思ったり。

2週間ぶりに見た『サムシング・ロッテン!』。
大阪ご当地ネタが追加されたり、大きな劇場だから、表情(特に変顔)が大ぶりになっていたりしていましたが、何より深化していたのが、とにかくナイジェルが可愛くて仕方ないというニックの心情。
兄弟という”設定だから”ではなく、海で父親を失って追うように母も死んでしまった2人の兄弟がどういう経緯で田舎から劇団を作ってロンドンにたどり着いたのかは分からないけれど、兄は弟を大切に育ててきたのだということがハッキリとわかるアッキーのお芝居を堪能しました。
さんざん甘やかしたのだろうなとわかるナイジェル平方くんとの空気感も可愛くて可愛くて。
ポーシャに出会うことでナイジェルの世界が広がっていく成長ぶりも楽しくて。

コメディ作品だからこそ、笑わせる部分ではないところでしっかりと作品の土台を作ること。その重要性を感じることが出来ました。アッキー最高だよ!


そういえば、私、学生時代は世界史選択だったのですが、オープニングとペストの歌で中世〜ルネッサンス期(イングランド)の流れは7割ぐらい理解出来るようになるはず…。清教徒やピルグリム・ファーザーズ、金融業に従事するユダヤ人など、教科書で習ったことが綺麗にストーリーにおさまっている、なんとタメになるミュージカル…!

それと、やっぱり”ミュージカル”って歌あり踊りあり、というのがいいのです。タップの音の心地よさ!
歌いまくり踊りまくる超超超実力派のアンサンブルさんたちと作り上げられた最高の作品でした。
私はあまり引きずらないタイプだと自覚しているのですが、『サムシング・ロッテン』ロスはしばらく続きそうです。他の作品も見るけどね。



2018年12月31日 (月)

サムシング・ロッテン! 12/24 13:00、12/30 13:00 東京千秋楽

@東京国際フォーラム ホールC
24日: S席 2階3列目 下手側
30日: S席 1階4列目 サブセンター

ニック・ボトム: 中川晃教
ウィリアム・シェイクスピア: 西川貴教
ビー: 瀬奈じゅん
ナイジェル・ボトム: 平方元基
ポーシャ: 清水くるみ
トーマス・ノストラダムス: 橋本さとし
青山郁代、池田紳一、井上花菜、
可知寛子、小暮キヨタカ、小山侑紀、
坂元宏旬、高橋卓士、高原紳輔、
竹内真里、常住富大、丹羽麻由美、
伯鞘麗名、福田えり、辺田友文、
横山敬、横山達夫

演出・上演台本: 福田雄一
脚本: ケイリー・カークパトリック、
ジョン・オファレル
作詞・作曲: ウェイン・カークパトリック、
ケイリー・カークパトリック

クリスマスイブと観劇納め&笑い納めはもちろん大好きになった『サムシング・ロッテン!』にしました。
国際フォーラムCホールにはけっこう来ているのですが、24日に座った2階席の張り出し部分の座席は初めて。
2階席の正面からよりはだいぶ舞台に近く、目の前に舞台がないサイドにはなるのですが、少しだけ上から見られるのが新鮮でした。けっこう好きかも。

さて、忘れていましたが、アッキーはゲラ(笑い上戸)なのでした…。
全方向(瀬奈さん、さとしさん、西川さん、アンサンブルの面々)がそれを狙っていて、アッキーはある意味、どこから何を仕掛けられるか分からない「笑ってはいけないミュージカル」に出ていたようなものでしょうか…。
公演後半になるに従ってパワーアップする笑いに、顔を歪めたり、小道具で顔を隠したり、耐えきれずに後ろを向いたり、そのまま笑ってしまったり。
それがニックなアッキーをより可愛く見せていたように思います。

ニックは追い詰められた末に怪しい予言者ノストラダムスの言うことを聞いてしまうのですが、全てがバレてしまった後にノストラダムスの「大きな代償を払うことになる」と予言した忠告を受け入れ、裁判で「正気を失っていた、いや、自分を失っていた」と反省の弁を述べる。
その素直さこそがニックの本質で、彼が(側から見たら)バカな行いに走ったのは「公演を成功させて妻や弟に良い暮らしをさせてあげたい」「劇団員たちを安心させたい」という思い。
自分を失っていたと言うけれど、その根底にあるのは、彼の家族や仲間に対する愛情と責任感で、ビーが言うように、彼はいつでも一生懸命。だから、ビーはニックを責めない。

その真面目さとちょっとのおバカさを圧倒的なキュートさで演じたアッキー。
千秋楽では初っ端からシャイロックがアクセルをぶっ放したおかげで、アッキーがブッ込んだところも、西川パイセンからブッ込まれて撃沈したところもあり。
そしてヤバいネタを自分からかぶりに行ったアッキーの漢気よ!さとしさんの共犯者になりました(笑)

でも、アッキーは、引くときは引くというバランスを心得ていて、笑ってしまったとしても、最小限のダメージで戻ってくる。
今まで見てきた他の福田作品では、ときどきやり過ぎにやり過ぎを重ねて崩壊していたものも正直なところ見受けられたのです。
アッキーは千秋楽では完全に舞台をコントロールしていました。プリンシパルだけではなく、参加する各ナンバーでキャストたちと目を合わせ、その楽しさを観客とも共有してくれる。アッキーの立つ舞台は、舞台と客席の距離がとても近い。

そして、作品として完成度が高かった理由として、ニックとナイジェルの絆をきちんと見せていたこと。
キャッキャとじゃれ合う仲良しな様子は微笑ましく、兄弟の決裂シーンは2人とも目に涙を溜めて演じていました。必要以上に背負いこんでどうしようもなくなった兄と、奇行に走ったお兄ちゃんを許せない弟。弟にとってお兄ちゃんはヒーローだったから。
自己評価が著しく低い弟は兄に「その脚本いいよ!」と言ってもらえることで救われていた。それがポーシャに出会ったことで、自分の心のまま書くことが出来るようになった。
そしてニックはナイジェルのことを「自分よりも賢い人」と呼ぶ。
2人がそれぞれ成長し、赦し合う。
アッキーと元基くんだから素敵な兄弟だったんだと思いました。

怒濤のコメディの中でもドラマを丁寧に演じること。
温かくニックとナイジェルを見守った瀬奈ビー、自分の才能と戦い、嫉妬し、それでも上に立ち続ける者の強さと辛さを体現した西川シェイクスピアにもその想いが貫かれているから、私はこの作品が好きなのだと思います。

もちろん、下品なネタの数々や作品自体に関係のないCMのパロディなど、「それ、いらなくない?」と思える箇所はたくさんあるのだけれど、「ミュージカルは楽しい」「シェイクスピアのセリフは美しい」ということに対してリスペクトはブレずに真ん中に据えられている。
華やかなダンスと歌で彩られた、それを見るだけでも楽しい、でも、その裏にある大切なメッセージをいくつも感じるのがこの作品の魅力だと思います。

1年の最後にこの素敵な作品に出会えて嬉しかった!




2018年12月21日 (金)

サムシング・ロッテン! 12/19 18:30〜

@東京国際フォーラム ホールC
S席 1階12列目 センターブロック

ニック・ボトム: 中川晃教
ウィリアム・シェイクスピア: 西川貴教
ビー: 瀬奈じゅん
ナイジェル・ボトム: 平方元基
ポーシャ: 清水くるみ
トーマス・ノストラダムス: 橋本さとし
青山郁代、池田紳一、井上花菜、
可知寛子、小暮キヨタカ、小山侑紀、
坂元宏旬、高橋卓士、高原紳輔、
竹内真里、常住富大、丹羽麻由美、
伯鞘麗名、福田えり、辺田友文、
横山敬、横山達夫

演出・上演台本: 福田雄一
脚本: ケイリー・カークパトリック、
ジョン・オファレル
作詞・作曲: ウェイン・カークパトリック、
ケイリー・カークパトリック

『サムシング・ロッテン』は、ミュージカルネタ、中の人ネタ、時事ネタを怒濤の勢いで放り込んでいますが、劇中では、創作の苦しみ、才能に対する嫉妬、家族愛、ユダヤ人差別、女性が働くこと、シェイクスピア別人説の仮説、清教徒のアメリカ渡航エピソード、等々までしっかりと描かれていて、温かい愛と人間賛歌、知的好奇心に満ちた作品です。
また、アメリカという国の、そしてアメリカが生んだミュージカルという素晴らしいエンターテイメントの歴史と矜持を感じます。
自分たちの国の成り立ちや人々を愛する、正しく発露された愛国心がありました。
シリアスに描こうとすればどこまでもシリアスに寄れるテーマを笑いで包んだ稀有な脚本だと思います。

ボトム兄弟、ライバルのシェイクスピアはいずれも男性ですが、この作品の要は女性です。
ビーは(職業はどうであれ)、外に出て働いて賃金を稼ぐ充実感を知り、男性の仕事と思われていた職業に「女性にだって適性はある」と知らしめる。
これは、現代日本に生きる女性への素晴らしいエールだと思うのです。

ビーが働こうと思ったのにはお金が必要だという切羽詰まった事情はあったものの、いつでもスタンバイ出来ていて、その機会をうかがっていたのでしょう。だって、街角でニックとすれ違う働いているビーはものすごく楽しそうだから!

ポーシャはナイジェルに「まことの心」の大切さを語ります。彼女は詩を愛する感受性豊かな人物で物事の本質を掴む力があり、好きなものには家族の制止を振り切り突進する強い心も持っている。

男性陣が自分たちの縄張りの中で四苦八苦しているのに対し、この2人の女性は軽やかに新しい世界に旅立つ勇気がある。
清々しいまでのかっこよさ。

歌はどれもキャッチーで楽しめるものだけれど、英語で書かれた言葉遊び、ミュージカルネタ、シェイクスピアのセリフを、音符、音節に合うように日本語にする作業は想像できないほどの難しさでしょう。

例えば、すごいなと思ったのが、
“Bottom’s gonna be on top”
“ボトム が トップに 立つ”
語順は違うけれど”g”の音と最後が破裂音で揃えられていると、日本語で聴いても違和感がない。
もちろん、全部が全部ではないでしょうが、対訳をつきあわせて見ると、いろいろな工夫が分かってもっと楽しめるだろうなぁ。歌詞全部欲しい...。台本欲しい...。

この日のアッキーはことごとくあさこさん(の活躍)に撃沈していました。いや、むしろよく初日に笑わないでいられたよね。

アッキーはアフタートークなどで、人に話を振っておきながら放置して他の話題を話し出すことがあるのですが(笑)あれが劇中でも見えます。
ツッコミを入れるところとボケやアドリブを放置しているところでリズムがつくし、自分のことに必死になっているニックの真面目なキャラクター造形にもプラスになっている。そして、スーパースターの宿命か、中の人ネタ盛り盛りの西川貴教氏パートとの対比もハッキリして、2人のバランスが良い。

ところどころ役者に任されている箇所はありますが、作品としては多くのメッセージがきちんと作り込まれた、何回見ても楽しめる、素敵な作品だと思います。

2018年12月18日 (火)

サムシング・ロッテン! 12/17 18:30〜 初日

@東京国際フォーラム ホールC
S席 1階8列目 下手側

ニック・ボトム: 中川晃教
ウィリアム・シェイクスピア: 西川貴教
ビー: 瀬奈じゅん
ナイジェル・ボトム: 平方元基
ポーシャ: 清水くるみ
トーマス・ノストラダムス: 橋本さとし
青山郁代、池田紳一、井上花菜、
可知寛子、小暮キヨタカ、小山侑紀、
坂元宏旬、高橋卓士、高原紳輔、
竹内真里、常住富大、丹羽麻由美、
伯鞘麗名、福田えり、辺田友文、
横山敬、横山達夫

演出・上演台本: 福田雄一
脚本: ケイリー・カークパトリック、
ジョン・オファレル
作詞・作曲: ウェイン・カークパトリック、
ケイリー・カークパトリック

出てきた瞬間からフィナーレまで中川晃教がかわいい。アッキー史上、最高にかわいい作品。

幼稚園男児並みの下ネタとか、時代設定を超えた中の人ネタとか、福田作品に賛否両論あるのは知っているし苦手な人がいるのは分かっているけれど、私が今作を含めて(たぶん)4作品見ていて福田さんのミュージカル演出で好きなのは、ミュージカルにおいて音楽はゴージャスでナンボ、踊ってナンボだと前面に押し出しているところ。いつもオケがかっこいいし、ダンスは見応えたっぷり。振付の上島雪夫さんはセンスの塊。
ミュージカルはThat’s Entertainment!! なわけです。

そして、彼ら彼女らの活躍がなければ、ミュージカルの華やかさは表現できない存在であるアンサンブルさんへのリスペクトが深いところ。
それは劇中からも120%伝わってきますが、プログラムにアンサンブルそれぞれが担う役柄全部を記載しているところも素敵だと思います。(いやぁ、なかなか卵役、オムレツ役って役者人生で経験できないよなぁ...)。

そう、プログラムが素晴らしかった!
値段がめちゃくちゃ高くてオサレな写真集かよ⁈的な作りのものが増えている昨今、あらすじ、人物相関図、劇中全曲目と誰が(役名)歌うかをきちんと書いてあることが好感度が高い。
休憩や観劇後に「あの歌良かったね!」「あれを歌っていた役者さんは誰だろう?」と確認できる。これは観客に喜んで欲しい、作品をもっと知って欲しいという”愛”ですよね。

この作品全体がミュージカル愛に溢れたものなのだけれど、その中でニックは妻と弟という狭義の家族と劇団という大きな家族に対して、ビーは夫に対して、ナイジェルとポーシャは詩とお互いに対して、シェイクスピアは大衆と言葉に対して、ノストラダムスは頑張る姿を放っておけないニックに対して、みんなが愛を持っている。

一方で、生活を成立させるためには綺麗事だけではどうにもならないこと、人は愛する者のために何か他の大事なことを犠牲にしてしまったりすること、天才と言われていても創作には苦悩が伴うこと...笑いの裏で、彼らの葛藤も描かれていました。

『Something Rotten(サムシング・ロッテン)!』というタイトルは『ハムレット』の中の” something is rotten in the state of Denmark”という一節から取られたもので、劇中で『ハムレット』をはじめとするシェイクスピア作品からの引用がふんだんに用いられていることを表していますが、それと同時に、人は金銭的窮状や創作の苦しみによって悪い行いに走ることがあり、誰もが心の中に”something rotten”な部分を持っているという作品の核心も表していて、言葉遊びの深さも感じることができました。

アンサンブルとあさこさん(瀬奈じゅんさん)は福田作品の常連だけれど、プリンシパルがほとんど福田組初参加。
あさこさんの境遇的にセンシティブだなと思えるシーンがあったのですが、お付き合いのある福田さんは知らないはずはないだろうと思うので、あさこさんが受け入れていらっしゃると受け取りました。逆に、今はご自分が、ご家族みんなが幸せでいらっしゃる証なのだ、と。
外野がどーのこーの言ってはいけない。
ニックの妻・ビーは朗らかで愛情深く、中の人の前歴も最大限に活かし、時々(いや、いつもか...)ニック以上に逞しく男前。
ニックの暴走を知りながら止めることなく見守り、兄と仲違いをした弟にも手を差し伸べる、晴れ渡る空のような大きな優しさを持ったビーは、あさこさんにピッタリでした。

有名な予言者・ノストラダムスの”甥”は橋本さとしさん。そういえば、少し遅れて開場した市場の近くにある客席がぐるぐる回転して役者が痩せていく劇場でもシェイクスピア作品である『マクベス』をアレンジしたお芝居に出ていましたね。
さとしさんは今でもミュージカルに対して「おじゃましまーす」的な感覚があるとおっしゃっていますが、その彼が「ミュージカルとは何ぞや?」という大ナンバーを歌い、シンガーソングライターであり、ザ・ミュージカル俳優と認知されているアッキーが「なんで歌うのー?」「なんで踊るのー?」と無邪気に聞くのが面白いのです。
この2人はだいたい一緒にいるのですが、その対比のかわいいことと言ったら!アッキーもかわいいしさとっさんもかわいい。

清水くるみちゃん演じるポーシャは清教徒(ピューリタン)でありながら、詩やお芝居が大好きな女の子。清教徒の考え方では、それらは人間を堕落させる悪しき物だとされているのですが、ポーシャは口うるさい父親の下にいながら、好きなもの、好きな人には感情を抑えられず自分からアタックする積極的な面がある。とてもかわいいのになんか変、という見せ方が最高で、あのグフグフした喋り方がクセになりそうです(笑)

平方元基くんはアッキーが演じるニックの弟・ナイジェル役。
普段から仲良しの2人ですが、この兄弟がアッキーと平方くんで本当に良かった!
弟はお兄ちゃんが大好きで、お兄ちゃんは弟を大切に思っている。2人がお互いを思いやっているからこそぶつかってしまう様子も描かれていて、兄弟2人の絆をじゅうぶんに感じることができました。
ナイジェルは、おそらく、この劇中ではまともな人物ではあるのですが、禁断の恋であるくるみポーシャとのバカップルぶりは微笑ましかったです。ベンヴォーリオとジュリエット(あれっ?)

ニックの天敵で、その時代のスーパースターであるウィリアム・シェイクスピアを、現代のスーパースターの西川貴教さんが演じる楽しさ!
ウィルはデフォルメしたロックスターのような出で立ちで、カリスマ性があり、周囲から絶大な人気を得ている一方で、自分の創作に行き詰まり、ナイジェルの才能に目をつけるようになる。
圧倒的な華とチャーミングさで、ニックの前に立ちふさがるところは憎らしくもありますが、スターであり続けることは苦しいこともあるという側面は西川さんだからこそ説得力のあるものになっていたと思います。中の人ネタの犠牲になっていたのは8割ぐらい西川さんでした(笑) スーパースターは辛い。

アッキー!!もうかわいいしか言えない…。本当にかわいい。
ニックの根底には家族愛があって、妻と弟、劇団員を路頭に迷わせるわけにはいかないという責任感も強い。お兄ちゃんはそうやって生きてきた。
「自分がなんとかしなければ!」という思いが、彼を間違った方向に向けてしまうのですが、必死に頑張っているというのが分かるので、観客は応援したくなってしまうのです。たとえ、怪しい予言者のお告げで『オムレット』というミュージカルを作ろうとしているのだとしても。

とにかく出ずっぱりで歌って踊る!
今まで歌ったことがないような面白い歌詞、言葉遊びが詰まった歌詞が満載のナンバーを楽しそうに歌って踊っています。
また、かわいいだけではなく、2幕後半で、ノストラダムスの予言を膨らませてなんとか『オムレット』の上演を行う場面では、論理的に意味が繋がっていないメチャクチャなセリフと歌をあれだけ分かりやすく喋って歌う技術の高さに驚かされました。


あの時代に未来を見て「ミュージカル」を作ってしまった彼らはいったいどうなったのか。その結末に思わず「おぉ、なるほど!」と声をあげたくなること、間違いなしです。

「ミュージカル百問百答」的なパロディ、オマージュの数々は、分かれば楽しい分からなくても笑える仕掛けがたくさん。そして「あぁ、ミュージカルは楽しい!」と思えることでしょう。
FNS歌謡祭の放送でミュージカル気運が高まった時期にこの作品が上演される意義は大きいのではないでしょうか。

あと、観劇後に、または次の日の朝ごはんに卵料理が食べたくなったりします。

あー、アッキーがかわいい!

2018年11月18日 (日)

中川晃教コンサート 2018 『I Sing 〜Wonderful Wonder〜』11/16 19:00〜

@オーチャードホール
1階12列目 下手側

Pf&D 園田涼 Bass 酒井太
Drs 江口信夫 Gt 鈴木英俊

A Brand New Day / 『WIZ』より
Happy Day
個人授業 / フィンガー5
My Eyes Adored You(弾き語り) / 『ジャージー・ボーイズ』より
Can’t Take My Eyes Off You / 『ジャージー・ボーイズ』より
偉大なる生命創造の歴史が始まる / 『フランケンシュタイン』より
Family (新曲)
相対性理論
Save Our Souls
マタドール (with ギター)
Miracle of Love (with ピアノ)
What A Wonderful World / ルイ・アームストロング
止まらない一秒
Catch Fire
BRAND
チャイナガール
別れるときに思うこと
<アンコール>
見上げてごらん夜の星を / 坂本九
恋のGPS(新曲)
I WILL GET YOUR KISS

11月14日、ピアニストの佐山雅弘さんが亡くなられました。
アッキーのデビュー曲「I WILL GET YOUR KISS」のレコーディングでピアニストを務めてくださった方です。
アッキーはいつもこの曲を大切に歌いますが、今回は鎮魂の思いが込められているからでしょうか、ひときわ優しく、慈しむように歌っていたように聴こえました。
客席のどこかにいらっしゃっていたのなら嬉しいですね。

さて、がっつりバンドで歌うのは、去年の「I Sing 〜time to come〜」以来では…?
『ジャージー・ボーイズ』で完璧にコントロールされたフランキー・ヴァリを演じ続けてきたアッキーが、完全に役を離れて、シンガー・中川晃教として歌うコンサート。

もちろんミュージカルからの曲もあるけれど、歌謡曲のカバー、ジャズスタンダードのカバー、今までのオリジナル曲、そして新曲もという盛りだくさんのセットリスト。そのすべてがアッキーで、彼こそ奇跡、彼こそ音楽なのだ。中川晃教は音楽から出来ている。

1曲目の「A Brand New Day」のイントロが演奏され始めると舞台上にはバンドの4人だけ。アッキーは『ジャージー・ボーイズ』で言う”シルエット”と同じ登場の仕方で、下手10列目あたりで歌い始めました。
大千秋楽から1週間も経ってないんですよねー。

「Happy Day」はCDにもなっていますが、もともとPOPSSICという、クラシック(この曲の場合は「トルコ行進曲」)をポップスにアレンジしたシリーズで発表された曲。

コンサートの開幕を彩る、キラキラとした幸せを感じさせる2曲。みずみずしく、歌う喜びに溢れた歌声を聴いて、「あぁ、アッキーのコンサートが始まったんだ!」と実感が湧いてきました。

通路を歩きながら観客と目を合わせ、ステージに上がってからは3階席(4階はないよ!笑)まで何度も指差しとお手振り。
MCで「ミュージカルはカンパニーが一体となってお客様に届けるもので、コンサートはお客様と一緒に作っていくもの」と言っていたけれど、ミュージカルには脚本があって演出があって、音楽はその中の(重要な)ツールのひとつであることに対して、コンサートはアッキーがバンドと一緒に作る音楽そのものを伝える場であり、観客はそれを受け取ってワクワクしたり拍手や歓声で返せる場でもある。双方向のコミュニケーションがダイレクトに行われる機会なんですよね。

ただそこにある音楽を追い続けて私たちはオーチャードホールにたどり着いた。

佐山さんがお別れの挨拶の中で「僕は自分が出会った人で出来ている」と述べていらっしゃいましたが、音楽を生業とする方はきっと人=音楽なのだと思います。アッキーも様々な人に出会うことで様々な音楽に触れ、彼の血肉になっている。

「個人授業」は、ここ最近、アッキーが取り組んでいる、日本の歌謡曲を歌い継ぐ(毎年の岩谷時子コンサート出演、由紀さおりさんとの活動、来年の中島みゆきコンサート出演etc)ことで出会った曲。原曲の可愛らしさを失わず、バンドのアレンジで洗練された雰囲気に。
「フィンガー5の元キーで歌えるのはフランキーをやったからかも」というMCで繋いで、「My Eyes Adored You」の弾き語りへ。

極力音数を絞ったピアノとアッキーの声だけ。日本語で歌い出し〜途中から英語、最後の”もう届かない”は日本語でという構成。
劇中で描かれるすれ違いの切なさや、やり切れなさではなく、誰かに伝えたかった届かなかった想いだけが響いてくるような。1人の男がそれを昇華するようにピアノに向き合って歌っているのを覗き見しているようなドキドキも感じたりして…。

『ジャージー・ボーイズ』からはもう1曲。「Can’t Take My Eyes Off You』を英語詞で。

♪ 魔法使いの(o) 夢のせいなの (o)
♪ You’re just too good to be true (u)
Can’t take my eyes off you (u)
私の中のメアリーがオゥ!とかユゥ!とか叫びたがっているんだけど(違)、語尾の母音が違うと歌全体の印象もだいぶ変わるのだと改めて分かりました。

「ジャージー・ボーイズでこの曲を歌うといつも凄まじい歓声をいただけて(ドヤァ)」「呼んでいただいた韓国のミュージカル・フェスでも盛り上がった」と、ナチュラルに韓国の話を取り入れて「偉大なる生命創造の歴史が始まる」を。

オケではなくバンドだったのが新鮮!エレキギターがギュインギュインしているのが雷鳴を思わせ、ドラムはあたかも稲妻が地面に叩きつけられたときの衝撃のようでした。それがヘビーメタル的で(ちなみに聖飢魔IIには「創世記」って曲がありますし)、最高にかっこよかったー!!(語彙力皆無) すごかったー!!(3歳)
地の底からフツフツと自分の思いを滾らせるような低音からグワァーと一気に解放するような高音への移行。聴く者すべてを圧倒する、孤高かつ至高の1曲となりました。

新曲「Family」は、『ジャージー・ボーイズ』という作品とその作品をともに作り上げたキャストとの絆を歌った曲。岩手で観光したことが生かされてるのかな?と思う箇所や、ストーリーを構成する春夏秋冬というキーワードが何回か出て来たり、一言で言うなら”エモい”曲でした。
「相対性理論」と「Save Our Souls」はちょうど1年前の去年のコンサートで発表された曲でまだ音源化されていません。
曲調としてはEDMのような「相対性理論」とフォーク調に近い「Save Our Souls」。
方向性は反対なのだけれど、子どもや弱き者の対して温かい眼差しを持っている点は共通していて、どちらも素敵。

2015年1月に「I Sing〜Versus〜」と題してそれぞれ1日ずつ、ベースとチェロピアノとキーボードパーカッションとギター(この日だけCDになっています)でコンサートを行いました。
「マタドール」と「Miracle of Love」はその試みを踏襲した形と説明。

「マタドール」は腕をひらひらと翻す動きと間奏のクラップも含めてかなりフラメンコ色が強いアレンジ。野性味があってセクシーで情熱的。
一転「Miracle of Love」は、愛の歌、どこまでも優しい歌、深く人を受け止める歌だと思いました。
「What A Wonderful World」では、コンサートのタイトルとリンクしているように、曲の持つピュアなメッセージに心がホッと緩みました。オーチャードホールの中に木々や花々、青い空が広がっていて、アッキーが周りの人に囲まれてニコニコと歌っている素晴らしい世界が見えたような。
3曲ともにまったく別の世界に連れていってくれました。

そして終盤戦。
「止まらない一秒」「Catch Fire」「BRAND」「チャイナガール」とノンストップで畳み掛ける。「Catch Fire」から客席はスタンディング。アッキーは舞台の両端、そして中央に設置された台にのぼって、観客を煽るような仕草も。全身で音とビートを感じてる姿、めちゃめちゃ美しいんですよ、マジで。音楽に愛された人だけがあの境地に行けるんだろうなぁ。

ア「最後の曲になりました…」
客席 \えーーーー!!/
ア「それを待っていた!」
という、お決まりの流れ(笑)をやって、「別れるときに思うこと」。
これも1年前のコンサートで発表された、”君”と”僕”の大人だから別れなければならない恋を描いたようなすごくクローズな雰囲気の曲。
今まで数回聞いて、胸がギュッと苦しくなるような切迫した気持ちを感じたりもしていたのだけれど、今回はなぜか「あ、本編最後にピッタリだ!」とものすごく納得感があって。
それは大きなホール独特の空気感だったからかもしれないし、久しぶりのコンサートが終わるとき=別れるとき、というのが自分の中でハマったのかもしれないし...。
コンサートを生で聴く醍醐味って、こういうところにあるのかもしれません。

「見上げてごらん夜の星を」は何度か歌っている曲。本編のMCで「人が幸せなのを見て、自分も幸せになる」的なことを言っていたのだけれど、曲の中にある「ささやかな幸せを祈ってる」という歌詞とアッキーの今がすごくマッチしているのかな、などと思ったり。
美しいメロディがより美しく感じられました。
ちなみに「空を見上げることは日常のこと。晴れていたら嬉しかったり、曇っていたら…雨は喉に良いな、とか」という話も。うん、ポジティブ!(笑)

そして、今回のコンサートの爆弾は「恋のGPS」だと思います。出来立てほやほやの新曲。
モーニング娘。の「ザ☆ピース」やAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」など、60年代のソウルミュージック風の曲が流行することがありますが、まさにこの流れと、昭和歌謡をミックスしたようなスーパーキュートなアイドルソングが爆誕しました。タイトルは「個人授業」を歌ったこともありフィンガー5の「恋のダイヤル6700」からのインスパイアでしょうか。

新曲なのに「よかったら一緒に歌ってください」という晃教先生。私、”フゥワ フゥワ”も”Ah〜”も客席で歌っちゃいました。できるよー、みんな!!全然無茶振りじゃなかったよー!!
実はアッキーが、ツイッターにアップした”ジャージーボーイズ&ガールズの歌”と同じメロディを使っている箇所があると種明かししてくれました。
このオシャレな曲調からは想像できないけれど、確かに同じでビックリしてしまいました。

アッキーは「コンサートで曲を育てる」と今回に限らず今までも言ってきたけれど、この曲がどんな風に成長していくのか俄然楽しみになりました。だって、そうやってこれまでのオリジナル曲が素晴らしいものになってきたのだから!

「I Sing」=中川晃教が歌う。
Wonderful(素晴らしく)で、Wonder(奇跡)を感じる幸せな、とにかく幸せなコンサートでした。

2018年11月12日 (月)

ジャージー・ボーイズ WHITE 11/10 13:00、BLUE 11/11 13:00

@神奈川県民ホール

11/10 : 1階24列下手サイド
11/11 : 1階17列センターブロック

Wキャストは10日WHITE/11日BLUEの順
フランキー・ヴァリ: 中川晃教
トミー・デヴィート: 中河内雅貴/伊礼彼方
ニック・マッシ:福井晶一/spi
ボブ・ゴーディオ: 海宝直人/矢崎広
ジップ・デカルロ: 阿部裕
ノーマン・ワックスマン: 畠中洋
ボブ・クルー: 太田基裕
遠藤瑠美子、小此木まり、まりゑ、綿引さやか、
石川新太、大音智海、白石拓也、山野靖博

音楽監督: 島健/音楽監督補: 福井小百合
演出:藤田俊太郎

この2日間を終えて、“感無量”という状態を身をもって体感しました。

お前出演者かよ?的なツッコミありがとう。
えぇ、観客役として断続的にこの2ヶ月間この作品と一緒に過ごしてきたのだもの。

でも、何より50公演、アッキーがフランキーをまっとう出来たことにホッとした気持ちが大きかったかもしれません。
そして、シングルキャストの阿部兄、畠中さん、もっくん、大音くん、石川くん、ヤスくん、たくぴー、るんちゃん、びびちゃん、まりゑちゃん、まりちゃん!アッキーと同じく全公演完走、本当にお疲れ様でした。


「Who Loves You」の最後、WHITEは、フランキーとトミーが肩をぶつけ合ってキャッキャしていて、BLUEは、近づくフランキーをトミーがグッと肩に腕を回して引き寄せる。
これが再演でたどり着いたそれぞれのカラーなのだとしっかりと受け止めました。

ボーイズのみんな、フランキーと出会ってくれてありがとう。
ガウチトミー、フランキーと鉄の絆を見せてくれてありがとう。
伊礼トミー、フランキーを見つけてくれてありがとう。
海宝ボブ、フランキーを引っ張って突き進んでくれてありがとう。
ぴろしボブ、フランキーと共に歩んでくれてありがとう。
福井ニック、フランキーを見守ってくれてありがとう。
spiニック、フランキーを優しく包んでくれてありがとう。

信頼のWHITE、挑戦のBLUE。
初演から深化して進化したWHITE。
公演中も試行錯誤しながら新しい風を探したBLUE。

まったく違う2チームなのに「Who Loves You」で同じように幸せな気持ちになれるのは、フランキーが音楽を愛し音楽に愛され音楽を追い求め続けているから。
今、この時代の日本でそれを演じられるのは、中川晃教だけ。

『ジャージー・ボーイズ』はこれからも続いていくべき、もっとたくさんの人に見て欲しい作品ですが、初演と再演を見届けたことは、きっと私の生涯の宝物になると思います。

初演から数えると計91公演、たった1人でフランキー・ヴァリ役の重責を担い、最高のパフォーマンスでキャストと観客を引っ張ってきたこの2年数ヶ月。
アッキーが成し遂げたことに、心からの敬意と鳴り止まない拍手を送ります。
何万回でも「君こそ奇跡」と讃えるからね。

2018年11月 8日 (木)

岩谷時子メモリアルコンサート Forever Vol.3 11/7 18:30

@中野サンプラザホール
A席 2階7列目 センターブロック

<第1部>
オーシャンゼリゼ / 全員
◆岩谷時子シャンソンの世界◆
夢の中に君がいる / 凰稀かなめ
イカルスの星 / 姿月あさと
ミロール / 真琴つばさ
18才の彼 / 安寿ミラ
ろくでなし / 真琴つばさ・姿月あさと・凰稀かなめ・岡幸二郎
ラストダンスは私に / 綿引さやか
サン・トワ・マミー / 里アンナ
そして今は / 田代万里生
雪が降る / 中川晃教
枯葉 / 福井晶一
私の心はヴァイオリン / 岡幸二郎
◆越路さんへの想い◆
シャンソン / 姿月あさと・里アンナ・綿引さやか
愛の讃歌 / 安寿ミラ・真琴つばさ・姿月あさと・凰稀かなめ

<第2部>
恋のバカンス / 全員
◆岩谷時子歌謡曲、POPSの世界◆
ふりむかないで / 里アンナ・綿引さやか
裸のビーナス / 田代万里生
逢いたくて逢いたくて/姿月あさと
好きよ/真琴つばさ・里アンナ・田代万里生
いいじゃないの幸せならば / 安寿ミラ
べッドで煙草をすわないで / 岡幸二郎
月影のナポリ/ 綿引さやか
夢見るシャンソン人形 / 凰稀かなめ
ある愛の詩 / 福井晶一
この胸のときめきを/ 真琴つばさ
◆岩谷時子ミュージカルの世界◆
踊りあかそう/ 姿月あさと
マリア / 岡幸二郎
街灯によりかかって/ 凰稀かなめ
魅惑の宵 / 田代万里生
ソー・イン・ラブ / 安寿ミラ
スーパースター / 中川晃教・岡幸二郎・福井晶ー・田代万里生・里アンナ・綿引さやか
◆「ミスサイゴン」と「レ・ミゼラブル」◆
世界が終わる夜のように / 福井晶ー・里アンナ
ブイ・ドイ/ 岡幸二郎・福井晶ー・ 田代万里生・綿引さやか
アメリカン・ドリーム / 中川晃教
夢やぶれて / 里アンナ
オン・マイ・オウン / 綿引さやか
彼を帰して / 福井晶一
民衆の歌 / 全員

◆アンコール◆
お嫁においで / 全員
サインはV / 全員

年に1回、アッキーの「スーパースター」を聞ける日がやってきました!!(違)

2014年から、越路吹雪さんの命日である11月7日に行われている岩谷時子さん作詞・訳詞の曲だけを歌うコンサート。今年で5回目、アッキーの出演は4回目です。
(過去ブログ: 2014年2016年2017年)
ちなみに、姿月あさとさん、真琴つばささんは皆勤賞、今年は安寿ミラさんが初参加であるにもかかわらず、まとめ役を引き受けてくださいました。

初回は高畑淳子さんが司会で進行してくださっていたのですが、2回目?から宝塚OGのお姉様と岡様を中心にMCをするという形式に変わっていきました。
2014年公演では、岩谷時子さんが亡くなった越路吹雪さんに宛てて書いた詩「眠られぬ夜の長恨歌」の静謐な、しかし壮絶な喪失と愛を捧ぐ内容と高畑淳子さんの朗読が素晴らしく、今でも覚えています。

出演者同士、特にOGのファンの方は組や年代を超えたトップスターのやり取りを見られるのは嬉しいだろうなぁと思う一方、毎年、あの詩を思い出したりもします。

さて、アッキーが招待された韓国のミュージカルフェスには行っていないので、フランキー・ヴァリではなく、生で中川晃教として歌うのを聴くのは久しぶり。

「雪が降る」は、アッキーが歌うのは初めて。
アッキーは、由紀さおりさんと一緒に司会をしたり(NHK「こころの歌人たち」)、歌番組などで昭和の歌謡曲を歌う機会がありますが、その度に思うのは、歌で景色が見えるということ。
“雪が降る あなたは来ない” = 私は寂しい、と歌うのではなく、アッキーの歌によって、私の脳裏には薄っすらと雪が積もった街角に佇む1人の人間の姿がハッキリと浮かんでくる。

私が昔聞いたこの曲は、ハスキーな声の男性が歌っていた記憶があるのですが(カバーだったかも)、うら寂しいギターの音色とアッキーの澄んだ歌声で、冬のキンとした冷たい空気が想像されました。

「スーパースター」はもう絶対、運営側が楽しんでるとしか思えない(笑) ソウルガールズ&ブラザーズが豪華過ぎるってば。
コーラスがいても1人で全部歌うのは変わらず、彼らと掛け合いのようにアイコンタクトを取りながら、歌声で観客を巻き込んでいく。
言ってみれば、アジテーターのようなユダ。『SHIROH』で民衆を立ち上がらせた、あの力。
しかし、これだけカリスマ性のあるユダなら、イエスはどんな人なんだろうか…との思いもなくはないぞ。
アッキーがユダ/イエスの役替わり『Jesus Crist Superstar』が見てみたい……。
『Jesus Christ Superstar』からは、ラミンのコンサートにゲスト出演したときに、「Heaven on Their Minds」も歌ったことがありますが、「Gethemane」も聴きたいし、何度も言ってますが「King Herod’s Song」をやって欲しいんですよねぇぇぇぇ!!

で、ちょっとテイストは似てるかもしれない?(そうでもないか)「アメリカン・ドリーム」は去年に続いて2回目。
すべてはエンジニアのイマジネーションの中で起こっている出来事。絶対起こりえないこと。
でも、アッキーの歌声にはそこにないものが見えたり、叶いそうもないことが実現してしまいそうなマジックが宿っていると感じました。

MCで、万里生くんとアッキーはレミゼにもサイゴンにも出演していないという話がありました。
最近だと、エンジニアは市村さんや駒田さんなど、ベテランの先輩方がやる役だとイメージがありますが、橋本さとしさんとか別所哲也さんは30代後半でやっていらっしゃるようです。
「ミス・サイゴン」は晃教少年がお母様に連れられて見に行って衝撃を受けたという思い出深いミュージカル。いつかチャレンジするのでしょうか…。

で、その2つとも出演していない問題。
(一昨年の入野自由くん、去年の城田優くんも)
アッキーも万里生くんも素晴らしい歌い手ですが、カズさん、いずみん(泉見洋平さん)、藤岡くん、原田くん、小野田くん(レミゼは来年からですが)など、両方出演している人も、片方だけの人もたくさんいるわけで、こういった俳優さんたちを招聘してもいいのではないかと個人的には考えています。

宝塚OGのお姉様たちのドレスはどれも麗しく素敵でしたが、「いいじゃないの幸せならば」を歌ったときの安寿ミラさんのマニッシュな出で立ちがとてもかっこよかったです。
それと「愛の讃歌」を歌ったときには『グランドホテル』のエリザヴェータの記憶が蘇ってきたりも(出演者にアッキーもいるし)しました。

バルジャンとファンテーヌの「世界が終わる夜のように」もなかなかに味わい深かったですが、ずんこイライザ爆誕が今回のサプライズでしょうか。「逢いたくて逢いたくて」もそうですが、普段あまり聞くことのない高音がとても印象的でした。

MCでは、OGに混ざった岡様の「土組」発言の持ちネタと中川、福井、田代(敬称略)で出てきたときのアッキー「この3人の頭文字を取って、3人で”中福田”でーす!」という意味わからないグループ結成が披露されましたが、これ、広がりあるんだろうか?(笑)
そういえば、ロクモのときも山本耕史くんと山川だか山中だかコンビ名作ってましたね?

平成最後の岩谷時子コンサート。
歌を歌い続けていくこと、伝えていくこと。
温故知新と言いますが、こうやって長く歌い継がれるものにこそ、今の時代にも、これからの時代にも通じるエッセンスが凝縮されているのだと思います。

万里生くんが言っていたけれど、何回も聞いた歌でも、違う人が歌うことでまた新しい発見があったりして、ミュージカルのガラコンとはまた違う趣きの、楽しいコンサートでした。

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