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中川晃教

2018年11月12日 (月)

ジャージー・ボーイズ WHITE 11/10 13:00、BLUE 11/11 13:00

@神奈川県民ホール

11/10 : 1階24列下手サイド
11/11 : 1階17列センターブロック

Wキャストは10日WHITE/11日BLUEの順
フランキー・ヴァリ: 中川晃教
トミー・デヴィート: 中河内雅貴/伊礼彼方
ニック・マッシ:福井晶一/spi
ボブ・ゴーディオ: 海宝直人/矢崎広
ジップ・デカルロ: 阿部裕
ノーマン・ワックスマン: 畠中洋
ボブ・クルー: 太田基裕
遠藤瑠美子、小此木まり、まりゑ、綿引さやか、
石川新太、大音智海、白石拓也、山野靖博

音楽監督: 島健/音楽監督補: 福井小百合
演出:藤田俊太郎

この2日間を終えて、“感無量”という状態を身をもって体感しました。

お前出演者かよ?的なツッコミありがとう。
えぇ、観客役として断続的にこの2ヶ月間この作品と一緒に過ごしてきたのだもの。

でも、何より50公演、アッキーがフランキーをまっとう出来たことにホッとした気持ちが大きかったかもしれません。
そして、シングルキャストの阿部兄、畠中さん、もっくん、大音くん、石川くん、ヤスくん、たくぴー、るんちゃん、びびちゃん、まりゑちゃん、まりちゃん!アッキーと同じく全公演完走、本当にお疲れ様でした。


「Who Loves You」の最後、WHITEは、フランキーとトミーが肩をぶつけ合ってキャッキャしていて、BLUEは、近づくフランキーをトミーがグッと肩に腕を回して引き寄せる。
これが再演でたどり着いたそれぞれのカラーなのだとしっかりと受け止めました。

ボーイズのみんな、フランキーと出会ってくれてありがとう。
ガウチトミー、フランキーと鉄の絆を見せてくれてありがとう。
伊礼トミー、フランキーを見つけてくれてありがとう。
海宝ボブ、フランキーを引っ張って突き進んでくれてありがとう。
ぴろしボブ、フランキーと共に歩んでくれてありがとう。
福井ニック、フランキーを見守ってくれてありがとう。
spiニック、フランキーを優しく包んでくれてありがとう。

信頼のWHITE、挑戦のBLUE。
初演から深化して進化したWHITE。
公演中も試行錯誤しながら新しい風を探したBLUE。

まったく違う2チームなのに「Who Loves You」で同じように幸せな気持ちになれるのは、フランキーが音楽を愛し音楽に愛され音楽を追い求め続けているから。
今、この時代の日本でそれを演じられるのは、中川晃教だけ。

『ジャージー・ボーイズ』はこれからも続いていくべき、もっとたくさんの人に見て欲しい作品ですが、初演と再演を見届けたことは、きっと私の生涯の宝物になると思います。

初演から数えると計91公演、たった1人でフランキー・ヴァリ役の重責を担い、最高のパフォーマンスでキャストと観客を引っ張ってきたこの2年数ヶ月。
アッキーが成し遂げたことに、心からの敬意と鳴り止まない拍手を送ります。
何万回でも「君こそ奇跡」と讃えるからね。

2018年11月 8日 (木)

岩谷時子メモリアルコンサート Forever Vol.3 11/7 18:30

@中野サンプラザホール
A席 2階7列目 センターブロック

<第1部>
オーシャンゼリゼ / 全員
◆岩谷時子シャンソンの世界◆
夢の中に君がいる / 凰稀かなめ
イカルスの星 / 姿月あさと
ミロール / 真琴つばさ
18才の彼 / 安寿ミラ
ろくでなし / 真琴つばさ・姿月あさと・凰稀かなめ・岡幸二郎
ラストダンスは私に / 綿引さやか
サン・トワ・マミー / 里アンナ
そして今は / 田代万里生
雪が降る / 中川晃教
枯葉 / 福井晶一
私の心はヴァイオリン / 岡幸二郎
◆越路さんへの想い◆
シャンソン / 姿月あさと・里アンナ・綿引さやか
愛の讃歌 / 安寿ミラ・真琴つばさ・姿月あさと・凰稀かなめ

<第2部>
恋のバカンス / 全員
◆岩谷時子歌謡曲、POPSの世界◆
ふりむかないで / 里アンナ・綿引さやか
裸のビーナス / 田代万里生
逢いたくて逢いたくて/姿月あさと
好きよ/真琴つばさ・里アンナ・田代万里生
いいじゃないの幸せならば / 安寿ミラ
べッドで煙草をすわないで / 岡幸二郎
月影のナポリ/ 綿引さやか
夢見るシャンソン人形 / 凰稀かなめ
ある愛の詩 / 福井晶一
この胸のときめきを/ 真琴つばさ
◆岩谷時子ミュージカルの世界◆
踊りあかそう/ 姿月あさと
マリア / 岡幸二郎
街灯によりかかって/ 凰稀かなめ
魅惑の宵 / 田代万里生
ソー・イン・ラブ / 安寿ミラ
スーパースター / 中川晃教・岡幸二郎・福井晶ー・田代万里生・里アンナ・綿引さやか
◆「ミスサイゴン」と「レ・ミゼラブル」◆
世界が終わる夜のように / 福井晶ー・里アンナ
ブイ・ドイ/ 岡幸二郎・福井晶ー・ 田代万里生・綿引さやか
アメリカン・ドリーム / 中川晃教
夢やぶれて / 里アンナ
オン・マイ・オウン / 綿引さやか
彼を帰して / 福井晶一
民衆の歌 / 全員

◆アンコール◆
お嫁においで / 全員
サインはV / 全員

年に1回、アッキーの「スーパースター」を聞ける日がやってきました!!(違)

2014年から、越路吹雪さんの命日である11月7日に行われている岩谷時子さん作詞・訳詞の曲だけを歌うコンサート。今年で5回目、アッキーの出演は4回目です。
(過去ブログ: 2014年2016年2017年)
ちなみに、姿月あさとさん、真琴つばささんは皆勤賞、今年は安寿ミラさんが初参加であるにもかかわらず、まとめ役を引き受けてくださいました。

初回は高畑淳子さんが司会で進行してくださっていたのですが、2回目?から宝塚OGのお姉様と岡様を中心にMCをするという形式に変わっていきました。
2014年公演では、岩谷時子さんが亡くなった越路吹雪さんに宛てて書いた詩「眠られぬ夜の長恨歌」の静謐な、しかし壮絶な喪失と愛を捧ぐ内容と高畑淳子さんの朗読が素晴らしく、今でも覚えています。

出演者同士、特にOGのファンの方は組や年代を超えたトップスターのやり取りを見られるのは嬉しいだろうなぁと思う一方、毎年、あの詩を思い出したりもします。

さて、アッキーが招待された韓国のミュージカルフェスには行っていないので、フランキー・ヴァリではなく、生で中川晃教として歌うのを聴くのは久しぶり。

「雪が降る」は、アッキーが歌うのは初めて。
アッキーは、由紀さおりさんと一緒に司会をしたり(NHK「こころの歌人たち」)、歌番組などで昭和の歌謡曲を歌う機会がありますが、その度に思うのは、歌で景色が見えるということ。
“雪が降る あなたは来ない” = 私は寂しい、と歌うのではなく、アッキーの歌によって、私の脳裏には薄っすらと雪が積もった街角に佇む1人の人間の姿がハッキリと浮かんでくる。

私が昔聞いたこの曲は、ハスキーな声の男性が歌っていた記憶があるのですが(カバーだったかも)、うら寂しいギターの音色とアッキーの澄んだ歌声で、冬のキンとした冷たい空気が想像されました。

「スーパースター」はもう絶対、運営側が楽しんでるとしか思えない(笑) ソウルガールズ&ブラザーズが豪華過ぎるってば。
コーラスがいても1人で全部歌うのは変わらず、彼らと掛け合いのようにアイコンタクトを取りながら、歌声で観客を巻き込んでいく。
言ってみれば、アジテーターのようなユダ。『SHIROH』で民衆を立ち上がらせた、あの力。
しかし、これだけカリスマ性のあるユダなら、イエスはどんな人なんだろうか…との思いもなくはないぞ。
アッキーがユダ/イエスの役替わり『Jesus Crist Superstar』が見てみたい……。
『Jesus Christ Superstar』からは、ラミンのコンサートにゲスト出演したときに、「Heaven on Their Minds」も歌ったことがありますが、「Gethemane」も聴きたいし、何度も言ってますが「King Herod’s Song」をやって欲しいんですよねぇぇぇぇ!!

で、ちょっとテイストは似てるかもしれない?(そうでもないか)「アメリカン・ドリーム」は去年に続いて2回目。
すべてはエンジニアのイマジネーションの中で起こっている出来事。絶対起こりえないこと。
でも、アッキーの歌声にはそこにないものが見えたり、叶いそうもないことが実現してしまいそうなマジックが宿っていると感じました。

MCで、万里生くんとアッキーはレミゼにもサイゴンにも出演していないという話がありました。
最近だと、エンジニアは市村さんや駒田さんなど、ベテランの先輩方がやる役だとイメージがありますが、橋本さとしさんとか別所哲也さんは30代後半でやっていらっしゃるようです。
「ミス・サイゴン」は晃教少年がお母様に連れられて見に行って衝撃を受けたという思い出深いミュージカル。いつかチャレンジするのでしょうか…。

で、その2つとも出演していない問題。
(一昨年の入野自由くん、去年の城田優くんも)
アッキーも万里生くんも素晴らしい歌い手ですが、カズさん、いずみん(泉見洋平さん)、藤岡くん、原田くん、小野田くん(レミゼは来年からですが)など、両方出演している人も、片方だけの人もたくさんいるわけで、こういった俳優さんたちを招聘してもいいのではないかと個人的には考えています。

宝塚OGのお姉様たちのドレスはどれも麗しく素敵でしたが、「いいじゃないの幸せならば」を歌ったときの安寿ミラさんのマニッシュな出で立ちがとてもかっこよかったです。
それと「愛の讃歌」を歌ったときには『グランドホテル』のエリザヴェータの記憶が蘇ってきたりも(出演者にアッキーもいるし)しました。

バルジャンとファンテーヌの「世界が終わる夜のように」もなかなかに味わい深かったですが、ずんこイライザ爆誕が今回のサプライズでしょうか。「逢いたくて逢いたくて」もそうですが、普段あまり聞くことのない高音がとても印象的でした。

MCでは、OGに混ざった岡様の「土組」発言の持ちネタと中川、福井、田代(敬称略)で出てきたときのアッキー「この3人の頭文字を取って、3人で”中福田”でーす!」という意味わからないグループ結成が披露されましたが、これ、広がりあるんだろうか?(笑)
そういえば、ロクモのときも山本耕史くんと山川だか山中だかコンビ名作ってましたね?

平成最後の岩谷時子コンサート。
歌を歌い続けていくこと、伝えていくこと。
温故知新と言いますが、こうやって長く歌い継がれるものにこそ、今の時代にも、これからの時代にも通じるエッセンスが凝縮されているのだと思います。

万里生くんが言っていたけれど、何回も聞いた歌でも、違う人が歌うことでまた新しい発見があったりして、ミュージカルのガラコンとはまた違う趣きの、楽しいコンサートでした。

2018年11月 7日 (水)

ジャージー・ボーイズ WHITE 11/3 18:00、BLUE 11/4 13:00

@久留米シティプラザ
11/3 : 1階G列下手サイド
11/4 : 1階Q列上手サイド

Wキャストは3日WHITE/4日BLUEの順
フランキー・ヴァリ: 中川晃教
トミー・デヴィート: 中河内雅貴/伊礼彼方
ニック・マッシ:福井晶一/spi
ボブ・ゴーディオ: 海宝直人/矢崎広
ジップ・デカルロ: 阿部裕
ノーマン・ワックスマン: 畠中洋
ボブ・クルー: 太田基裕
遠藤瑠美子、小此木まり、まりゑ、綿引さやか、
石川新太、大音智海、白石拓也、山野靖博

音楽監督: 島健/音楽監督補: 福井小百合
演出:藤田俊太郎

行きの飛行機→満席、泊まったホテル→満室、帰りの飛行機→満席、立ち寄ったリムジンバス→満席、そして劇場は2日間とも満員御礼!の、満満満足な福岡旅でした。

神奈川で凱旋公演はあるけれど、ツアーとしては久留米公演が最終地。
私にとって1ヶ月以上空いた観劇となりましたが、この2日間でWHITE、BLUEそれぞれの完成形が見えたような気がします。

ガウチトミーにからかわれてプンプンしていたのに、トミーに「今日の歌よかったよ」と言われて、(あ、そう?的に)ポーカーフェイスで応じながら影でニヤッと照れ笑いするフランキーの可愛さ。

spiニックにどのように歌うのかをアドバイスされ、ニックの彼女とともにハーモニーを奏でた幸福感。

WHITEはトミーとの繋がりがフランキーの原点、BLUEは教会に忍び込んでニックに歌を教えてもらったことがフランキーの”グループで歌う”ということの原風景なのだと感じました。

東京公演中にも少し書いたのだけれど、WHITEは、ボブが入ることでオリジナルメンバーとしてのグループにヒビが入ってしまう。
言い換えれば、ボブが入らなければ、スターにはならなかったかもしれないけれど3人でそれなりに楽しくグループを続けられていたのかもしれない人たちではないか、と友達とも話していました。

フランキーはボブとパートナーシップを結ぶ際にトミーより先にニックの名前を出すけれど(「歌えるようになったのはニッキーのおかげだし」)、WHITEだとトミーとの絆が確かなものだからこそ敢えて先に名前を言わないのだろうし、BLUEではニックに本当に恩義と尊敬を感じているから真っ先に彼の名前を出すのだろうなと、この久留米公演を見て実感しました。

久留米公演初日のWHITEは、ガウチトミーとアッキーフランキーの”秋”に泣きました。
「俺がグループを始めた」と、自分の手柄を述べていくガウチトミーの目は涙で光りフランキーを見据える。
一方「君の方こそグループのことを全然考えてないじゃないか」とトミーに不満をぶつけるフランキーの表情は悲しみに溢れ、彼の目にも涙が浮かぶ。
両者が「俺はこんなことを言いたいんじゃない」という思いを正反対の言葉で吐き出している様子が痛々しく、胸が締め付けられました。

あんなにシュッとスタイリッシュだったトミーが背中を丸めて憔悴しきって3人の元から去っていく後ろ姿が忘れられません。

(ブログを読んでいただいていると分かると思うのですが)私は初演から中河内トミーが大好きなのです。特に再演ではフランキーとの繋がりが顕著で「春」のフランキーとの仲良しを見るのが楽しみでした。
「夏」のヒット曲パフォーマンスの後も、目を合わせたり、久留米では2人一緒に4階席に手を振ったりして、フランキーがトミーを慕い、トミーがフランキーを可愛がっているというのが伝わってきて、本当に2人が楽しそうで...。
だからこそ、離れたくないのに離れなければならない2人というのが突き刺さったのだと思います。

BLUEで感じたのは、フランキーの強さでした。
キャタピラーのように険しい道を突き進み、目的を達成する。

それは、ぴろしのソロが絶好調だったことに起因すると思います。
「Cry For Me」を歌い始めた直後、アッキーフランキーがぴろしボブと音楽をやりたい!という表情に一瞬にしてチェンジしたのが見えました。フランキーとボブが音楽で繋がった瞬間。(歌い終わった後は、フランキーとしてボブに「よかったよ」って労っているより、完全にアッキーがぴろしに「やったじゃん!!」ってポンポンしているように見えましたが…笑)

だから、トミーが何と言おうと「別のリードボーカルを探せ」と楯突いてまで、ボブと一緒にやりたいという思いが強く伝わってきました。

ぴろしボブとアッキーフランキー、東京では、ボブがフランキーのぴったり横に寄り添う、時には前に出て守るというような関係性でしたが、この回はフランキーがめっちゃ強かったからか、秋の時はむしろ暴走するフランキーを抑えようとしているようにも見えました。

ニックがハーモニーを教えてくれたこと、ボブと出会ったこと、それもトミーがまとめてくれたグループがあったから。それがどうしてもグループでやっていきたかった理由ではないでしょうか。

だから、「ソロの僕を気に入ってくれなかったからどうしよう」と急に弱気になるフランキーの気持ちも分かるし、ボブはきちんとそれを支えている。
「Can’t Take My Eyes Off You」のとき、ぴろしボブは、フランキーに向けて上から何か言葉をかけているのか、それとも独り言なのか、オフマイクで喋っているのですが、何を言っているのだろうなぁ…読唇術が欲しい。

この回のBLUEは「Can’t Take〜」から「Working My Way」でのフランキーの貫禄がまさしく本物のそれで、中川晃教という人物が”演じている”という感が1mmもなく驚いたのですが、あの作品内でのフランキーがボブを丸ごと信頼し、ボブがフランキーを輝かせるために存在しているという証だったのだと思います。

これほどまでに違う2チームの真ん中にいる中川晃教という俳優は何者なんだろうか…。天使?それとも怪物?

大きいホールでやると、音が丸いというかまろやかというか。クリエのようにハーモニーが突き刺さる感じではない、新しい聴こえ方でした。
BLUEの日にたまたま島健さんをお見かけしたのですが、リハの調整だけではなく、こうやって本番も見てくださるのは嬉しいことですよね。

WHITEのガウチトミーとアッキーフランキーは、カテコでは2人で拍手しながらとか手を広げながらとか、同じ仕草で上手下手から出てくるところが漫才コンビみたいでとてもかわいく、挨拶で真ん中に2人並ぶとなぜかなごなごしてしまう癒し系。
BLUEでは、ガールズが「sherry」歌っているときに、ぴろしに「なんでやねん」の手を連発するアッキー、1回下手袖に捌けるときに「バンドさんどうぞ!」的に膝をついて2人で同じポーズ、次に捌けるときは2人でぺこぺこお辞儀、アンコールが終わって最後に捌けるときに、アッキーとspiくんが踊る→帰りかけた彼方くんも戻ってきて踊る→ぴろしがお辞儀して締めるというワチャワチャ感。

それにアッキーのソロでは、(WHITEでは)海宝くん、まりゑちゃん、まりちゃん、大音くんがオタ芸(ケチャ)するなど、ツアーを経てテンションがおかしくなった人たち、大好きです(笑)

東京で見られなかったアッキーフランキーのかわいいポイントは、
・車の詐欺の「どうしようトミー」でのスポットライト当たる前の暗がりでトミーの周りをぐるぐる歩き回る。
・クルー「運命が待っている」\(^-^)/
フランキー \(^-^)/ (真似っこ)
かな…?

1500人以上収容、4階まである広いホールでも、お芝居とハーモニーの緻密さは失われず、むしろ物理的に距離が広がったことで、メアリーとの精神的な距離が浮き彫りになったり、スターとして大ヒットして大きな会場でパフォーマンスしているんだなと想像出来たりして、フィットしていたように思います。

福岡に来て、本当によかったと思える2日間でした。





2018年10月 2日 (火)

ジャージー・ボーイズ WHITE 9/30 13:00

@シアタークリエ
15列センターブロック

フランキー・ヴァリ: 中川晃教
トミー・デヴィート: 中河内雅貴
ニック・マッシ: 福井晶一
ボブ・ゴーディオ: 海宝直人
ジップ・デカルロ: 阿部裕
ノーマン・ワックスマン: 畠中洋
ボブ・クルー: 太田基裕
遠藤瑠美子、小此木まり、まりゑ、綿引さやか、
石川新太、大音智海、白石拓也、山野靖博

音楽監督: 島健/音楽監督補: 福井小百合
演出:藤田俊太郎


グループの歩みを4人に聞けば答えは4通り、栄光にたどり着くまでに4つの生涯。

あのとき友達や家族はああいう風に考えていたのか〜、とふとした会話から気がつくことがありますよね。
『ジャージー・ボーイズ』では、Four Seasonsのメンバーが春夏秋冬の語りを未来からの視点で担当することで、それが明らかになるのが面白いところ。



この本の中に、リック・エリスとマーシャル・ブリックマンが『ジャージー・ボーイズ』の脚本を作るにあたり、ボブ、フランキー、そしてトミーから聞いた話の内容の食い違いが、作品を構成する上での重要な要素となった、と書かれています。

『ジャージー・ボーイズ』は2004年に試験興行が行われ、2005年に正式公演となりました。
劇中でも明かされるように、ニック・マッシは2000年のクリスマス・イヴにこの世を去っているので、生前のインタビューだったり、残された資料から丁寧に拾っているものだとしても、彼が立ち去った本当の理由...トミーの態度に我慢の限界がきたのか、ボブとフランキーに嫉妬したのか、本当に家族のもとに帰りたかったのか、そこに至るまでの思考は、誰も分かるはずがないのです。

だから、あの場面では、それまで過ごしたFour Seasonsとしての感情と俳優本人のプランが化学変化を起こし、また、観客側も自分の経験によってそれぞれが違う受け取り方をして、いっそう刺さる場面になっているのではないでしょうか。

この回の福井ニック、フランキーとボブが2人で未来のことを相談しているときに「抜ける」と宣言するときには、これから犯罪とか自殺でもしてしまうのではないかっていうぐらい壊れていて、今まで見たことがないニックでした。

「グループを解散するつもりはない」というフランキーはニックに絶対の信頼を寄せていたのだと思う。だって、歌を教えてくれたのはニックだから。
クルーに「シェリー」を聴かせる前に「僕とニックでヘッドアレンジをして…」と言っているように、ボブはニックの音楽的才能を理解していた。

フランキーとボブはニックも音楽で繋がっていてくれるものだと思い込んでいたのかな…。


同じ本からの引用になりますが、ニック・マッシが若い頃のことをこのように回想していたそうです。ところどころ、劇中のボブがフランキーの歌を聴いた場面の台詞と重なりますね。
「フランキーはいい声をしていた。個性的なね。素晴らしいファルセットが出せたが、あの時代、あれに似たようなものは誰も聴いたことがなかった。それはまったく予想もしないやり方だった。彼は働き始めるには若すぎたけど、人一倍音楽を愛していたね」

先日『BKLYN』というミュージカルを観劇したとき、”『ジャージー・ボーイズ』と一緒に見ると面白い”とツイートしたのだけれど(感想も書いた)、『ジャージー・ボーイズ』では、『BKLYN』の冒頭で提示された「おとぎ話の中には真実があり、真実の中にはおとぎ話がある」というテーゼを強く意識させられます。

『ジャージー・ボーイズ』は、Four Seasonsのドキュメンタリーではありません。
トミーのキャラクター造形も(上演されたとき、ご家族が「パパはこんな人間じゃない」と泣いたエピソードがあるそうです)、クルーの描き方も本人のパーソナリティとは異なる部分があると言われているし、作中に出てくる曲もその場面とは違う年代(「My Eyes Adored You」や「Oh What A Night」は1974〜75年発表の歌なので、オリジナルのFour Seasonsが歌っているわけではない)のものが採用されていたりします。

そんな中で、ひとつ真実なのは、フランキー・ヴァリという男が音楽に生き、ずっとずっとずっと歌い続けているということ。
84歳の今でも驚くべきスケジュールでコンサートを行っています(ウェブサイト)。

役に対して、俳優本人のバックグラウンドは必ずしも一致するものではないでしょう。
それでも、フランキー・ヴァリという役と中川晃教という稀代の歌い手の必然の出会いは『ジャージー・ボーイズ』日本版にとって最大の幸福だと断言します。

歌うことについて、歌を伝えることについて、真摯に向き合うアッキーだからこそ、私たちは「Who Loves You」で最高の愛を受け取れるのです。


フランキーの歌手としてのベースを作ってくれるトミー。「今日の歌よかったよ」の後のニヤッと、ボーリング場での「何笑ってんの」とトミーにツッコミを入れるフランキーのアドリブ、よかったなぁ。
フランキーにとって最初に自己肯定感、自分には音楽があると見出してくれたちょっと悪くてカッコいいお兄さん、それがガウチトミー。

ニュージャージーの仲間内ではいちいち口に出して相手の家族の心配はしないのかもしれないし、お金は持っている方が払うのが当然という考えなのかもしれない。
フランキーは”自分がどこから出てきたか忘れることはない”と言いますが、トミー自身は抜け出そうとしたけど、根本は”そこにいたかった”人なのかな、とも思ったり。そして、ニックも。
同じ場所で育ちグループを作って音楽をやったことが重要だった。

ロレインはフランキーを「昔のしがらみから抜け出せれば」と糾弾する。ボブは「昔馴染みの土地なんてクソくらえだ」という。

海宝ボブは音楽の才能だけではなく、存在自体があのグループの中では異質。
「今いる場所が僕の居場所」という彼は、グループが居場所なのではなく、自分の創造意欲を掻き立てるフランキーの近く、音楽ができる場所ということが重要だったのではないかと思わせる。

音楽という一点で繋がり合った彼らが、グループの危機を迎えたとき、海宝ボブは音楽が続けられる方向に舵を切るし、そのためなら、借金を背負ってでもフランキーをプロデュースする。実は天然のクラッシャーでは…?

誰もが音楽が好きでハーモニーでは多幸感溢れる「Cry For Me」が、実は崩壊に向けてのカウントダウンになり得るのがWHITEのいちばんの特徴ではないかな…と感じた東京MY楽でした。

私が観劇するのは1ヶ月以上先になります。
これから、クソいまいまし…くない、彼らのツアーが始まります。各地の皆様、お楽しみに!!

2018年9月29日 (土)

ジャージー・ボーイズ BLUE 9/27 14:00

@シアタークリエ
4列センターブロック(下手寄り)

フランキー・ヴァリ: 中川晃教
トミー・デヴィート: 伊礼彼方
ニック・マッシ:spi
ボブ・ゴーディオ: 矢崎広
ジップ・デカルロ: 阿部裕
ノーマン・ワックスマン: 畠中洋
ボブ・クルー: 太田基裕
遠藤瑠美子、小此木まり、まりゑ、綿引さやか、
石川新太、大音智海、白石拓也、山野靖博

音楽監督: 島健/音楽監督補: 福井小百合
演出:藤田俊太郎


BLUE東京マイ楽。今まで見た回より彼方くんがだいぶ抑えているように感じて、私的にはこれぐらいが好みでした。

トミーがtoo muchになると、グループの話というより、ニックが心優しき騎士、ボブが弟分の忠臣となって、フランキーを暴君から徹底的に守り、ロックンロール王国の王座に就かせようとする物語になってしまっているように見えて、それはそれで面白いのだけれど、描きたかったことからはズレてしまう。

前回、前々回鑑賞時は「君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる」のではないかというぐらいにフランキーのことしか考えてなかったボブが、今回はちゃんと才能ある音楽プロデューサーとしてフランキーに寄り添っていたし、フランキーも大天使ではなく最初から最後まで人間でした。

というのも、上で書いたように、春である程度わかりやすい形でトミーからの愛情が提示されないと、フランキーがトミーの借金を肩代わりすることに対して、ストーリーを知っていても「なぜだ…理解できない」「フランキーは大天使だからそんな選択ができるのか?」という方向に考えてしまう。

ニュージャージーのイタリア系チンピラはもっと荒くれ者なのかもしれないけれど、例えば本場のイタリアンよりも日本人に合わせたイタリアンの方が美味しく感じるように、日本人が受け取りやすい表現の仕方はあるのではないか、と考えています。

だからリアリティを追求することだけが正解ではないよな、と思う一方、フランキー・ヴァリはまだ存命で、今もコンサートで歌っている人物。彼を大天使のように扱うよりは、栄光を掴み、傷つき、どん底に落ち、それでも歌い続ける1人の男として演じるべきだとも思うのです。

彼方トミーが10代のフランキーを語る表情が優しかったり、2人で「真実の愛」を歌いながら真ん中のマイクに寄っていくとき、目を合わせて手をガシッと握るなど、トミーとフランキーの関係性が観客に分かりやすい形で垣間見えたのは、フランキーがこの先、夏秋冬を生きていく上でよかったと思いました。

トミーに「今日の歌よかったよ」って言われるところ、再演、WHITEだと思わずニヤっと笑っちゃうのに、BLUEだと”坊や”とからかわれたことをフランキーはずっと怒っている。たしか、初演のときは赤白ともにニヤっとしてたような気がするけど。
彼方トミーのあのからかい方は確かにカチンと来るよねー(苦笑)と思いつつ。

そうそう、spiニックが「Oh What A Night」のときサスペンダーをお腹側もクロスにして出てきたのを見て「こいつやべぇな(笑)」と思ったのですが、前もやってましたっけ?
あと、車の場面でジャケットの襟を全部立てて、
ニック「あなたに、中に、入ってきてほしいパ!」
ボブ「パ...?」
も「やべぇな(笑)」と思いました...。

穏やかで優しくてジェントルマンで繊細なspiニック、ここに来て面白キャラをぶち込んでくるとかとてもズルいわー。

ボブはニックが毎日同じ時間に起きて同じお酒を飲んでシャツに二度もアイロンをかける几帳面な性格だと明かすし、トミーと車に同乗したときは、借金について苦言を呈している。
ペシが言っていたように、”めちゃくちゃ”なトミーと正反対。
でも、音楽の才能に溢れたニックには、トミーの持つ「何か」に期待したかったし、そうすることが抜け出す道だった。

それが、自分たちはトミーの力よりも大きなアメリカンドリームを手に入れてしまったから、メッキが剥がれてトミーのやってきたことが表に出てきてしまう。

最初にノーマン・ワックスマンが登場する場面、ボブにもスポットライトが当たっているのは、あの時のボブは語り手として殿堂入りした後のボブで、グループの転換点を暗示していたのかもしれません。
あのときトミーが借金をしていなければ「Can’t Take My Eyes Off You」は生まれていなかったかもしれないのだから。
ボブはどう思っていたのかな。

この回のぴろしボブ、ジャージー式の契約をして「Oh What A Night」を歌い始める前に、何回も握手をした右手を見ていました。そこからの歌い出し「Oh What A Night〜」、ボブにとっては二重の意味でなんて素晴らしい夜だ!って感じだったんだろうなぁと微笑ましくなりました。
ぴろしボブはフランキーが「Can’t Take My Eyes Off You」を歌い始めてから、ソデに捌ける前の最後にフランキーの背中に向けて指をさすのですが、それはボブが追い続け支え続けたもので、「次はキミの時代だ」ともう1回後押しをしているのかな?とも思ったりして。

歌い終わった後のフランキーのちょっと心配そうな表情から、万雷の拍手を受けている間のホッとしたような表情までの変化が本当に素晴らしい。「ソロの僕を気に入ってくれなかったらどうしよう」という台詞をきちんと回収して、それ以上の喜びを返してくれるアッキーのお芝居。
それを私たちは”フランキーが素敵な曲を歌っているのを目撃する観客”としても受け取れる。その構造の巧みさは、『ジャージー・ボーイズ』でしか味わえないのではないでしょうか。

「どこまでも果てない あの本当の愛 まだ遠い」の歌い出しから始まる「Let’s Hang On!」
歌う〜長いモノローグ〜歌う〜ボブと話す〜後ろにコーラスを入れて歌う、という1曲の中で状況がくるくると変わる場面ですが、音楽とのタイミングはもちろん、アッキーが全部違う声でやっていることに驚愕します。

そして、「Can’t Take My Eyes Off You」「Working May Way」を立て続けに歌った後のモノローグも一切声がブレることはありません。

日本版『ジャージー・ボーイズ』で描かれるフランキーの強靭な精神力を支えているのは、アッキーのとてつもない努力とスタミナと作品に対する愛と献身に他ならないでしょう。
音楽に情熱を燃やし続けるフランキーと溶け合う瞬間を感じられるフィナーレを迎え、カーテンコールで、その思いを劇場全体で共有できるのは最高に幸せ。

カテコの最後の最後、4人で手を繋いで挨拶をして捌けようとしたとき。
アッキーが彼方くんとぴろしと手を繋いで、彼方くんが振りほどこうとしてもギュッとしたまま。結局spi先生が先導して3人繋がったままで下手ソデに捌けていきました。
かわいいなー。

2018年9月26日 (水)

ジャージー・ボーイズ WHITE 9/24 18:00

@シアタークリエ
6列下手側

フランキー・ヴァリ: 中川晃教
トミー・デヴィート: 中河内雅貴
ニック・マッシ: 福井晶一
ボブ・ゴーディオ: 海宝直人
ジップ・デカルロ: 阿部裕
ノーマン・ワックスマン: 畠中洋
ボブ・クルー: 太田基裕
遠藤瑠美子、小此木まり、まりゑ、綿引さやか、
石川新太、大音智海、白石拓也、山野靖博

音楽監督: 島健/音楽監督補: 福井小百合
演出:藤田俊太郎


ようやく初日ぶりにWHITEが見られました!嬉しい。
これだよ、これ、このスピード感がWHITEの魅力。
ガウチくんのツイートにあるように、フランキーや仲間たちはその波に自然に乗っているし、私たちも一気に物語を追体験できる。
このスムーズさは、春から冬まで1曲の歌のように完成されているからなのだと思います。
WHITEは”こうなるべくしてこうなった”男たちの物語。

とにかくガウチトミーが最高に素晴らしい!
トミーとフランキーの鉄の絆を見せる春パート、青春の煌めきを感じました。トミーは弟分のフランキーが可愛くてしょうがないし、フランキーも何でも(ちょっと悪いことも)教えてくれるトミーに子犬のようについて行く。
2人のじゃれ合いがキュートで、WHITEはトミーとフランキーがニコイチで、トミーがロレインに手を出すまで、その関係性は続いているように見えました。

ボブがグループに入るときのトミーとフランキーの言い合いも、売り言葉に買い言葉で、2人が今までそうやってコミュニケーションを取ってきたんだろうと受け取れます。
だから、昔からの仲間のニックも新しく入ってきたボブも対等な立ち位置で意見を言い合っている。

BLUEのぴろしボブは意識的に(フランキーを守るために)グループの主導権を自分のもとに寄せているように感じますが、海宝ボブは、音楽やグループが歌うことに対しての意見は表明するものの、グループを運営することに関してはトミーを立てているように感じました。

だからトミーは自分をもっと良くもっと強く見せようとして借金を重ねてどうしようもなくなってしまう。そのやるせなさ。

トミーの欠点を挙げて「きみが酷い目に遭えばいいって本気で思ってるよ」と告げるときのフランキー、WHITEではとても悲しい。本心はその正反対で「グループを解散するつもりはないから」、借金を肩代わりしようとする。自分がどこから出てきたか忘れない。
「Beggin’」で、トミーにこれ以上のことを起こしてほしくないように請い(beg)、1回目の「STAY」で涙を目に浮かべて歌うアッキーフランキーの思いに胸を打たれました。

一方、この状態では音楽を続けていけなくなるから、「金を払って除名しよう」と言い放つボブは冷静で、強かにここでグループを掌握する。
でも、ニックが望んだのは、ボブがリーダーになるグループに留まることではなかった。

「今はボブがグループを回している、フランキーはもうトミーの弟ではない」
トミーがもう戻れないところまで来てしまったことを表すニックのセリフ、福井ニックは自分にも言っているように聞こえました。
「自分のグループを作るかな」と言いかけても、トミーに止められる。それで納得する。トミーがリーダーでフランキーがいて自分がいる、それが彼がいるグループ。

福井ニックから感じたのは、前に出て歌いたいという気持ちよりも、フランキーに音楽を教えたのは自分なのに、という自尊心。ボブに対する嫉妬、なのかもしれません。

ボブは、エピローグで彼の現在の生活が快適で安定して平和であることを話します。ぴろしボブはそうありたかったのに、自ら激動の中に飛び込んでしまいますが、海宝ボブは、ある意味天然の天才でマイペースを貫いているように見えます(それもニックには羨ましかったのかも)。
冬のパートで「ジェットコースターに乗っているようだ」とつぶやくフランキーには、穏やかな凪いだボブの存在は慰めになったのだろうなぁ。

でも、海宝ボブは自分の音楽の手腕には相当自信があって、それが自分がフランキーの近くにいる意味だと思っているようにも感じられます。
「Can't Take My Eyes Off You」のレコードを出したいとクルーに相談に行く時、海宝ボブは「この曲はヒットする」ことに確信があり、上からフランキーに対して「ほらね、自分の言ったとおりでしょう?」というサムズアップが印象的。
フランキーを最高に輝かせるのは、自分。
ボブ・ゴーディオ氏は『ジャージー・ボーイズ』を上演するにあたり、フランキー役のオーディションを課していますが、なんとなく海宝ボブの裏方気質と地続きのようにも思えました。

WHITEのハーモニーは何と言っても福井さんの低音が効いているのが最高。バンドでもそうだけど、やっぱりベースって大切。そこに意外にも甘い声のガウチくん、声量と安定感のある海宝くんが合わさると栄養たっぷりというか、脳が気持ちよくなって、アッキーの声が降り注ぐともはや天国。さすが天使の声。
それと、ガウチくんというスーパーダンサーがいることで(福井さんも踊れますし)、ちょっとした振り付けもすごく華やかに見えます。これはWHITEだけの特権かも。

この回、下手サイドで見ていたので、本編中の「Oh What A Night」でアッキーフランキーが上手ソデに捌けていくとき、オケの近くで8カウントぐらいノリノリで脱いだジャケットを振りながら身体を揺らしてたのが見えました。とてもかわいい。
それと、カテコの日本語詞のとき、大音くんのシャウトの後にアッキーが引き継ぐように自由自在にフェイクを操っているのですが、バックアップセッションでフランキーが好き勝手にハモるときのようで、それを見守るメンバーもあの場面のように「来た来た(笑)」という表情をしていたのがとてもよかった!

英語詞カテコに入ると、ガウチくんが「明日は休み(休演日)だー!」と飛び出してきて、海宝くんが「Oh What A Night」を歌う後ろで、アッキーと回転して戻る振付の距離と勢いを競争してたのが、春のトミーとフランキーのじゃれ合いのリプライズのようで微笑ましかったなぁ。

最後は3回挨拶に出てきてくれて、ボブとフランキー、トミーとニックで上手下手に別れて、アッキーとガウチくんが手を上下にパタパタさせながら捌けていきました♥︎

2018年9月22日 (土)

ジャージー・ボーイズ BLUE 9/19 19:00

@シアタークリエ
10列センターブロック

フランキー・ヴァリ: 中川晃教
トミー・デヴィート: 伊礼彼方
ニック・マッシ:spi
ボブ・ゴーディオ: 矢崎広
ジップ・デカルロ: 阿部裕
ノーマン・ワックスマン: 畠中洋
ボブ・クルー: 太田基裕
遠藤瑠美子、小此木まり、まりゑ、綿引さやか、
石川新太、大音智海、白石拓也、山野靖博

音楽監督: 島健/音楽監督補: 福井小百合
演出:藤田俊太郎

「8小節聞いただけで、ぼくはこの声のために曲を書かなければならないと思った」
「そこにいるボビー坊やも、誰のために曲を書くべきかわかるだろうね」
「いろいろうまくいったら、ホーンセクション全部入れてもいいんじゃないか」

『ジャージー・ボーイズ』というミュージカルの中で、「Can’t Take My Eyes Off You」はボブ・ゴーディオからフランキー・ヴァリへの最高のプレゼントで、ボブ・クルーに対する数年越しの満点の答案なんだろうと思います。

なぜ、そのときのフランキーのジャケットが黒なのか。
日本版独自の衣装を振り返って、赤(春)、黄(夏)、青(秋)を全部混ぜた色だから、ではないかと思いつきました。それまでの道のりがなければ、あの曲は生まれなかった。

「Can’t Take My Eyes Off You」の後のショーストップは、客席もそれまでの道のりを共有しているから起こるもの。そして、それを実現できるのはアッキーの素晴らしいパフォーマンスがあればこそなのです。

舌ったらずに「I Can’t Give You Anything But Love」を歌って、女の子にキャーキャーされるのを嬉しそうにする少年時代から、「そこにあるのはただ音楽だけだった」と彼の来し方や出会ってきた人々すべてを包み込んでしまうとてつもない大きさを持った男まで、それを3時間足らずの間に表現できる中川晃教という存在を言祝ぐしかない。

チケットの確保状況の都合上、BLUEが続きました。

「僕たちの未来に誰も巻き込みたくないんです、僕とフランキー以外の誰も」というボブの台詞を聞いた後のspiニックの真顔で客席の方に向くリアクションが、とてもアメリカ的。客席から起こる笑いもシットコムドラマのようで。

それに近いものを最近見たなぁ、と思っていたのですが、ふと先月行ったスヌーピーミュージアムだ!と思い出しました。
スヌーピーに不意打ちをくらったりルーシーにやり込められたときのチャーリー・ブラウンと一緒。
めちゃくちゃなのはスヌーピーやルーシーの方で、チャーリー・ブラウンはいたって普通の(でもちょっと変な)男の子。

ニックはハーモニーの天才だし、女性にめちゃめちゃモテるから”普通”とは言い難いのかもしれないけれど、トミーのように悪事に振り切れず、人の作った借金を背負うという正気の沙汰ではない選択をしてしまうフランキーとボブを見て、自分はあの位置まで行けないと思ってしまっても無理はないような気がします。
でも、あのグループの、あの状況の中で”普通”でいられたニックが実はいちばん凄いのでは…?

ぴろしボブは初日より前回観劇時、前回より今回と、かなり怒りや苛立ちが激しくなっていて、フランキーを傷つけるものは許さないという意志は、まるで、サバンナで自分の子どもを守るために大型肉食獣に立ち向かう草食動物のお母さんのようにも見えます。

それは握手をする前、フランキーがトミーに「別のリードボーカルを探せ」と楯突いてまでボブをグループに入れてくれたところから始まってるのかも。

そうそう、そのジャージー式の契約をするとき、ものすごい音がして、手を離したときに同時に「いってぇぇぇ」というように苦笑しながら、手をぶらぶらさせるアッキーフランキーとぴろしボブがめちゃくちゃかわいかった!
「そういうこと(正式な契約)したい?」って聞くフランキーがちょっと不機嫌で、フランキーにとってはもうボブは“ファミリー”だったんだろうなぁ。

伊礼トミーはTV収録だとスタッフの女の子に手を出していて「自慢話をベラベラしたり、女を置いておくアパートを買うのに忙し」い様子が分かりやすい。
そして、やっぱりジップの家に呼び出されても悪びれる様子がないのが、伊礼トミーなんですよねぇ。
ボブが未来を見据え、ニックが苦しみながらもグループの調和を重んじ、フランキーが自分のやりたい音楽について目を輝かせていたとき、トミーは自分のことしか考えていなかった。

「何か」を必要としていた若者たちが、それぞれ別の道を歩いていく中、彼だけがその「何か」の答えを見つけられなかったのだとしたら、哀しい人間ですね…。


前回書ききれなかったシングルキャストの感想なども。

まりゑちゃんのフランシーヌ。電話でフランキーに不満をぶちまけるシーンの口ぶりに、パパに甘えたいときにパパがいなかった寂しさを感じて、実年齢差3歳の親子(ちなみにママのびびメアリーの方が娘より1歳下)すごい。少女性ではなく、”子ども”を感じさせる女優さんって稀少な存在だと思います。

反対に、オトナな女性を一手に引き受けたのがるんちゃん(遠藤瑠美子ちゃん)。僕にもそのクリスマスプレゼントください(真顔)。
るんちゃんの役で初演から特に好きなのは、教会に忍び込んで「真実の愛」を歌うときのニックの恋人役。フランキーの歌声に表情が変わる瞬間がとても鮮やかで3人のコーラスワークが美しい。

白石くんと山野くんは、クソバカ野郎コンビのテンポ感に磨きがかかっています。
白石くん、ボウリング場の店員のときに、追い詰めるのはトミーなのに、なぜか通りがかりにボブに対する当たりが強くてちょっと面白い(笑) 今回、フィナーレで客席降りしてくれるとき、通路に近い座席だったので斜め前でピッカピカの笑顔で振り付け指導しているのが見えました。爽やか!

山野くんも警官だったり、ブリルビルディングでフランキーにムチャ振りする人だったりするのですが、「Bye Bye Baby」で街中をうろつくフランシーヌを狙う男として、この物語中ただ1人悪意を纏った人物を演じていることに注目。その時は助かったけど、フランシーヌの未来を暗示しているようで少し不気味なのです。

そして!阿部兄!!
ジップ・デカルロの鷹揚とした振る舞いは威厳の塊みたいなのに、ラジオDJの軽薄さといったら!何そのエベレストと高尾山みたいな高低差(笑)
もし、会計士の彼がトミーの借金について何か知り得て、対策を取っていたらどうなっていたんだろうと考えてみたり。

『ジャージー・ボーイズ』はフランキー・ヴァリとFour Seasonsの物語だけれど、彼らを支え、別れ、時には打ちのめし、形作ってきた人たちが魅力的であればあるほど、より物語が豊かになるのだと思います。

2018年9月14日 (金)

ジャージー・ボーイズ BLUE 9/13 19:00

@シアタークリエ
14列センターブロック

フランキー・ヴァリ: 中川晃教
トミー・デヴィート: 伊礼彼方
ニック・マッシ:spi
ボブ・ゴーディオ: 矢崎広
ジップ・デカルロ: 阿部裕
ノーマン・ワックスマン: 畠中洋
ボブ・クルー: 太田基裕
遠藤瑠美子、小此木まり、まりゑ、綿引さやか、
石川新太、大音智海、白石拓也、山野靖博

音楽監督: 島健/音楽監督補: 福井小百合
演出:藤田俊太郎

本編の最後の最後、「Who Loves You」の終わりでFour Seasonsの4人が客席から見て左からボブ、フランキー、トミー、ニックの順でセンターに集まるとき。

ボブとフランキーが自然に近くにいて、少しフランキーとトミーとの間が空いていたのですが、彼方トミーがフランキーをボブからひっぺがして自分の方に寄せてその肩に手を回し、もう片方はspiニックに。そしてドヤ顔。
苦笑しながら「おい〜」というふうに眺めるぴろしボブ。
みんなフランキーが大好き、それがBLUE。

この物語のすごいところって、全てが丸くおさまって大団円というわけではないところだと思うんですよね。
ロックの殿堂入りのときに、トミーに誘われてもフランキーは彼の部屋に行かなかった。行くことができなかった。

フランキーはそれまでもいろいろ嫌な目に遭っているのに、トミーの借金を背負った。彼と世に出たってことは、それだけで鉄の絆だから。
20年の間、地を這うように努力をして復活、借金を完済。大衆から愛された証の賞をもらっても、フランキーにとってトミーのしたこと全てを受け入れることは出来なかった。フランキーは神でも聖人でもない。だからトミーを赦すことは出来ない。

その思いは、古くから一緒の、フランキーの大好きな頭脳明晰なニックでさえ理解できなかったもので、フランキーとトミーとニックは全てを分かち合ったわけではない。(そもそも、ボブは「(トミーと)きっぱり縁を切る」と言い放っている)

それでも、フランキーの原点は街灯の下で仲間と奏でたあの音楽で、彼が帰ろうとしているのは音楽という家族のもとで、彼が最後に誰に向けて「Who Loves You」を歌っているのかと考えると、私たちにとってフランキーは光であり大天使なのです。
うぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーん(涙)

前回も書いているのですが、特に春〜夏、フランキーはspiニックが大好きなのがよくわかります。トミーやボブが観客に向けて話しているとき、いろいろオフマイクで話しているように見えるのですが、ニックに懐いているのが体格差もあいまって、とてもかわいいのです。

それが「僕の心を本当にとらえたのはニックだ」というフランキーの冬の始まりのモノローグに説得力を持たせている。脱退してからも機会があればフランキーに会いに行くニックは、ボブとは違う部分で彼の支えになっていたのだと思います。

ボブはボブで、借金を背負うと宣言したフランキーを受けて、トミーに「これでいいのか?」って聞く場面で、たぶん今まででいちばん怒りの感情が表に出ていて、ボブもまたフランキーの盾になろうとしている様子が伺えました。

本当にフランキーが好きだな、BLUEは!笑

フランキーは、初演よりも能動的になっていて、少しだけチンピラというかヤンチャ感が出ています。特にジップに対して「デカルロさん」と呼びかける部分、きっとトミーや街の悪い仲間がそう呼んでるから真似してみたんだろうな、と。かわいい。

ブリルビルディングのフランキー。
「こんにちは!僕たちフォーラバーズです!!デモテー...(バタン)...プ」の間(ま)とか、最後の山野くんのときに胸ぐらを掴んで歌を聴かせるのとか、とてもかわいい。

「Walk Like A Man」後の控え室で、ボブとジャージー式の契約をする前、ボブの話を聞いてるときに椅子じゃなくてドレッサーの方に行儀悪く腰掛けていたり。初演から見ていても、あれはこの回で初めて見たなぁ。
うんうん、ジャージー育ちのフランキーと優等生のボブとの対比が鮮やかに見えて、すごくいいよね(ペシ風に)。


フランキーは、Four Seasonsからの、そして観客からの愛を一身に受けているのに、いや、だからこそ、自ら愛した女性とは上手くいかないのかもしれません。

びびメアリー、「ハーイ、トムーチ!」の一言で「こりゃ未成年のフランキーには手に負えないぞ」感が出ていて最高。うぶなフランキーを手玉に取る感じも最高。いい香りだよね、せっけん。

フランキーと結婚したメアリーは、もう赤いドレスは着ていないし、上、もしくは外に抜け出すどころかどんどん墜ちていく。もしかしたらフランキーだけが突き抜けて上に行ってしまっただけなのかも。
そしてメアリーには狭義の意味でのファミリーしかなかったけれど、フランキーには大切なファミリーが他にもあるんですよね。

まりちゃんロレインは初演よりフランキーの”才能”に惹かれているような印象を受けました。フランキーが100万ドルの墓穴から這い出るために地道にこなしている仕事は、彼女にとって「面白くない」。だから別れる。
ジャージー式のやり方と相容れない合理的な思考の持ち主。

よりポップに進化したのがもっくんボブ・クルー。
実際には、クルーはオープンリーゲイではなかったようですが、もっくんクルーの素晴らしいところは、そのセクシュアリティはクルーの数ある個性のひとつであり、クルーが音楽に関しては厳しい目(耳?)を持ち、有能なプロデューサーだとわかるところだと思います。
でも、フィル(音楽技師の彼氏)とはずっと仲良しでいてほしい。

そのフィルである大音くんは、ハンサム・ハンクでもありますが、オハイオ州の田舎訛りの警官として、バンバン笑いを取っています。頼もしい!
彼のブログを読むと分かるのですが、劇中でFour Seasonsがテレビやステージでパフォーマンスするときは、大音くんと小此木まりちゃんが、フランキーと同じパートを歌っています。
その大音くんが英語歌詞カテコの「Walk Like A Man」でリードを取っているのが本当に嬉しい。
また、劇中では舞台奥にいるので見えにくいかもしれませんが、「Oh, What A Night」でシャウトしているのも彼です。

3回見て、1回目カテコの「Oh, What A Night(日本語版)」のとき、シャウトの前にアッキーが大音くんのお尻を「行ってこい!」という感じで軽く叩くのが定番になっているようですが、この回、それで大音くんがすごく頑張ってるのが嬉しかったのか、アッキーもその後ものすごいフェイク入れてきて、パフォーマンスで引っ張るアッキーならではだなぁ、と思ったりして。

石川新太くんが演じるジョー・ペシ。
初演では、対トミーで関係性が完結していたように思えましたが、再演では「Cry For Me」の最後に向かい合って歌うなど、フランキーとの絡みも地元の(ちょっと)怖い先輩後輩のようで微笑ましいです。
注目は、トミーとボブが契約について話しているのを待っているときの、フランキーとニックにちょっかいを出されるペシ。特にフランキーはまだペシが作業しているギターケースの蓋を閉じたり、小突いたり、おいたが過ぎる(笑) ストーリーのメインは上にいる2人なのに、ついついこの3人を目で追ってしまいます。

あぁ、また長くなり過ぎた!

Four Seasonsのメンバーだけではなく、彼らを支え、多くの役を担っているシングルキャストたちが、再演ではストーリーをより豊かに彩ってくれています。
今回触れられなかった方々は、次の機会に。




2018年9月 9日 (日)

ジャージー・ボーイズ WHITE 9/7 19:00、BLUE 9/8 18:00

@シアタークリエ
9/7 : 1列目下手サイド
9/8 : 18列目センターブロック

Wキャストは7日WHITE/8日BLUEの順
フランキー・ヴァリ: 中川晃教
トミー・デヴィート: 中河内雅貴/伊礼彼方
ニック・マッシ:福井晶一/spi
ボブ・ゴーディオ: 海宝直人/矢崎広
ジップ・デカルロ: 阿部裕
ノーマン・ワックスマン: 畠中洋
ボブ・クルー: 太田基裕
遠藤瑠美子、小此木まり、まりゑ、綿引さやか、
石川新太、大音智海、白石拓也、山野靖博

音楽監督: 島健/音楽監督補: 福井小百合
演出:藤田俊太郎


2組7名のOUR SONSが帰ってきた!!

ボブ・ゴーディオは、僕らをトップまで押し上げたのは一般大衆だと言います。
トミー・デヴィートは、ロックンロールの殿堂入りは一般大衆が支持してくれたからもらえたのだと言います。
Four Seasonsはアメリカという大きなファミリーの息子たちとして愛されたグループなのです。

WHITE の初日のカテコでアッキーが「客席の皆さんもおかえりなさーい!」と言ってくれたとき、BLUEのカテコで彼方くんが観客を”5人目のメンバー”と言ってくれたとき、一般大衆とFour Seasonsの関係性とシアタークリエの客席と舞台上が重なりました。
「誰より愛をくれる人は誰?」その答えがここにあります。

舞台の座組はカンパニー(仲間)と呼ばれますが、『ジャージー・ボーイズ』では作品の中にいくつものファミリーが出てくるように、ファミリーという言葉がぴったりだと思います。キャスト、スタッフ、そして、観客たちもそのファミリーの一員に迎え入れてくれる温かさがあります。

私たちは彼らのように刑務所に出たり入ったりもしなければグループを結成してデビューしたりすることはないだろうし、マフィアとお付き合いしたこともないでしょう。
でも、フランキー・ヴァリがグループを通して春夏秋冬を辿るように、私たちも人生の中で順番や期間やインパクトは違っても誰もが春夏秋冬を経験し、家族や友人との距離感が変化したりその関係に悩んだりしているから、聖人ではない彼らに親近感を覚えるのだと思います。だから、“ファミリー”。


抜群のハーモニーがさらに進化したWHITE。初演の経験値を踏まえた上でゼロから構築した新しいFour Seasonsの物語は良質な白ワインのように爽やかだけど芳醇でキリっと引き締まっている。

新メンバーを迎えて新しくスタートしたBLUE。“Azzuri”と呼びたくなるような、イタリア男たちの栄光と陰。ピザのトマトソースのように味わい深くちょっぴりスパイシー。

初演では、REDのチーム色を特徴づけていたのはぴろしボブ、WHITEはガウチトミーだと感じましたが、再演WHITEを見てガウチトミーのスピード感が大好きなことに変わりはありませんでした。一方、BLUEはspiニックの穏やかさがキーポイントかもしれないと思いました。「こうきたか!」というニック像、とても興味深いものがあります。

ニックは登場シーンからしてガールフレンドと一緒だし刑務所から出てきたときも隣には彼女がいるし女遊びが激しい人物だけど、女性にモテるってことは魅力的な人であることは確かで、spiくんはニックを知的かつ穏やかな人として作っていました。地声が若くて甘いのもギャップ萌え。
そして、フランキーに対する溺愛っぷりがすごい(笑) 中の人の実年齢と逆転してるけど、弟が可愛くてしょうがない兄、ジェントルマンでかっこいい兄貴が大好きな弟というように、音楽を教えてくれたニックを尊敬して慕っているというフランキーの言動がより鮮やかになったように感じられました。

秋。福井ニックの爆発は、今まで我慢してきたことがどうにもならなくなって噴出した抑えきれない怒りとここでしか自分の意見を言えなかった悲しみを感じます。一方、spiニックは淡々とフランキーたちに自分が盾になっていたことを話していて、その理性があったからグループを存続させるために自分を抑えていたんだろうなと思わせる説得力がありました。

初演のとき、演出の藤田さんが”終わらない青春”をキャッチコピーに掲げましたが、そのイメージに、ガウチくんのしなやかな身体がすごく合致していた記憶があります。

ガウチくんのトミーのええかっこしぃ感は地元の後輩にいい顔見せたい先輩のようで、かっこいい自分でいるために悪ぶってマフィアに取り入ったり、借金を重ねてどうにもならなくなってしまうやるせなさ感が好き。

初登場の彼方トミーは、ニュージャージーでイタリア系に生まれた以上、マフィアと関わるのは当然のことっしょ?的に悪いことするのに躊躇がない感じ。”ファミリー”としてフランキーは可愛い弟で、自分の保護下にいて当然だと思っているふてぶてしさ。
その出自ゆえに、ボブとフランキーが音楽に邁進する姿を斜に見て、転落していってしまう様が愚かで哀れに見えました。

ボブの在り方として、海宝ボブは「フランキーの声を生かす才能のある僕が支えて頑張る」、ぴろしボブは「フランキーと一緒に頑張る」。それもチームカラーに表れていると感じました。
WHITEではトミーやニックはボブの才能に彼らから一線を引いているように見えるし、BLUEは彼らの末っ子の”かわいいフランキー”がボブに取られてしまうことで徐々にグループに亀裂が入っていく。

海宝くん、初演より良い意味で「スポットライトがしっくりこなかった」感に”ウソつけー!”感がなくなっていて、フランキーの歌を聴いたそのときから「どうしたらフランキーにもっと良い曲を歌わせられるのか」というプロデューサー的な視点で彼に寄り添い続けている姿がありました。ご本人のミュージカル知識などに見えるマニアックな性格にも通じるところがあるような…?

フランキーとボブは実際には、8歳の年齢差があるのですが、アッキーフランキーとぴろしボブはニコイチ感がとてもかわいい。REDからBLUEに変わっても、その雰囲気が変わっていなかったのが嬉しかったです。むしろ、トミーとニックがイタリア的な”ファミリー”の絆でフランキーを可愛がっていたので、フランキーがボブと出会って初めてトミーに逆らうシーンがよりドラマチックに浮き上がったと思います。

新メンバーといえば、もう1人、畠中洋さん。
初演・戸井さんのワックスマンは、マフィアのフロント企業のデキる社員みたいな雰囲気だったけれど、畠中さんのワックスマンは、ジャージーの男たちの成り上がりの手段としてマフィアの道を選んだ感じがして、トミーの兄のニックも演じていることもあって、スターになれなかったトミーの姿を見ているようでもありました。

さて、世界に宣言しよう、中川晃教は最高の歌い手、俳優だと。初演から何万回も言っているけど、君こそ奇跡の存在。でも、アッキーがこの役に巡り会えたのは奇跡ではなく必然なんだと思います。

アッキー本人も言うように、フランキーを演じる人が他にも出てくることが、アッキーにとっても日本のミュージカル界にとっても必要なことだと思うけれど、ずっとずっとずっと音楽を追い続けるフランキーとアッキーの親和性が私たちの心を完全に射止めてしまったのだから。

再演のフランキー、春の少年っぷりが本当に少年なので、夏、秋、冬と成長して青年・壮年・最後の初老期まで見ていく中で「あのかわいいフランキーが!」という感覚が、少年時代から関わってきた特にBLUEのトミーとニックと観客で共有できるのが面白かったです。

仕事とプライベートの絶頂とドン底、”ファミリー”の確執、新しいガールフレンドとの出会いとすれ違い、低迷期からの復活と人生最大の試練…。
3時間でジェットコースターのような約40年を演じますが、劇中の経験を取り込んで年齢の変化を感じさせていて、ただ時間が経過しただけではなく、実際のフランキーが考えて行動している、キャラクターの一貫性がしっかりとした役づくりに驚嘆しました。
アッキーは”歌”で評価されるし、自分でもそれが強みだって言ってるけれど、勢いに任せず、台本から緻密に役を作る丁寧なお芝居も素晴らしいと思っています。

天使の歌声。
こうやって書くのは簡単だけれど、キャスト、客席全員が納得するように表現すること。できること。それは想像を絶するような努力の積み重ねの上に培われたものでしょう。

トミーが、ボブが耳にした途端に特別だと思ったトワングという歌唱法を駆使した高音はもちろん、「My Eyes Adores You」や「Fallen Angel」など、フランキーがプライベートで喪失感を味わったときに歌う際の、そのまま溶けていってしまうのではないかという透明感に涙を誘われました。

初演から2年、その間、ものすごい仕事量を抱えながら、(5月にはコンサートもあった)この『ジャージー・ボーイズ』再演のためにフランキーの声のトレーニングを続けてきたアッキーに、心からの尊敬と永遠に鳴り止まないアプローズを。

さて、この2回は再演のスタート。
アンサンブルさんのこととか、まだ書けていないこともたくさんあるので、次回の観劇が楽しみです。
みんな体調に気をつけて(by中河内雅貴)!!

2018年7月 2日 (月)

銀河鉄道999 〜GALAXY OPERA〜 6/27 18:30、6/30 12:00 東京千秋楽

@明治座
27日: B席 3階正面1列目
30日: A席 2階左側1列目

星野鉄郎: 中川晃教 メーテル: ハルカ
機械伯爵: 染谷俊之 リューズ: 矢沢洋子
シャドウ: 雅原慶 クレア: 美山加恋
車掌: お宮の松
大山トチロー: 入野自由
鉄郎の母/トチローの母/プロメシューム(声): 小野妃香里
アンタレス: 塚原大助
クイーン・エメラルダス: 凰稀かなめ(特別出演)
キャプテン・ハーロック: 平方元基

岡崎大樹 高木裕和 高橋里央 出口栄一
富田大樹 長尾哲平 中島大介 バレッタ裕
藤田勇紀 森内翔大 森田カ斗
安里唯 池田美千瑠 新橋和
望月ちほ 安室夏 横関咲栄(男女別・五十音順)


原作・総監修: 松本零士

脚本: 坪田文 作詞: 石丸さち子
演出: 児玉明子
映像演出: ムーチョ村松
銀河鉄道999テーマ曲: 中川晃教
音楽: 久保田修

『銀河鉄道999』は40年の歴史と作品愛ゆえに、昨今の2.5次元舞台ブームに連なるような「舞台化されたらファンが喜ぶ」という図式は成立しない。
作品のファンは、コミックスとアニメを何十年も聖典とし、その図柄と声を自らの中でいわば神格化している、とも言えるでしょう。原作者が総監修に当たるとはいえ、素人目から見ても舞台化するにはリスクが高過ぎる。

また、普段から「観劇する」という習慣を持った人ではないと、直接劇場に足を運ぶというのはハードルが高いそうです。
作品が好きな人たちの中で舞台に好意的な興味を持った人たちがいたとしても、実際に来てくれる人はその数%に過ぎないのではないでしょうか。

ハーロックは「男なら危険を顧みず、死ぬと分っていても行動しなければならない時がある」と言いますが、キャスト・スタッフは原作ファンの批判という”危険”を十分に覚悟したうえでこの作品を送り出しました。

私が主演の中川晃教さんのファンで、時折知らされるハードな稽古の様子から彼の努力の成果を肯定したいがゆえの妄言と言えばそれまでですが、時間も空間も制限される舞台というフィールドで『銀河鉄道999』を表現できたのは、星野鉄郎が役について考えて考えて考えぬくアッキーだからだと思います。

鉄郎は最初、エメラルダスやアンタレスに”坊や”とか”坊主”って呼ばれるけれど、機械伯爵には”青年”って呼びかけられていることに気がつきました。
そこに至るまでの約2時間、子ども時代(お母さんとのシーン)があり、旅に出て様々な経験をし、鉄郎は少年から青年に成長する。
声、話し方、目の力、表情、姿勢、歩き方...舞台上のアッキーの全てでその変化を感じられました。

鉄郎はお母さんとトチローの母にハグされたり、シャドウに抱きつかれたり、クレアに盾になってもらったり手を取られたり、ハーロックとトチローに肩やら頭をポンポンされたり、メーテルに頬を触られたり、エメラルダス様と機械伯爵に顎クイされたり...と、スキンシップを一身に受けるのですが、アッキーの表情とリアクションで、鉄郎の相手に対する気持ちが分かるのです。

感情の動きを投げっぱなしにするのでも押し付け過ぎることもなく客席に届けるスキル、それがアッキーのすごいところだと思っています。


調べてみたらGALAXYという単語には、銀河という意味のほかに「華やかな集まり」という意味もあるそうです。

曲数は多くはないけれどバラエティに富んだ曲や、各ジャンルで活躍するキャストたちもGALAXY OPERAという副題にピッタリでした。

作品のファンが「なぜ鉄郎やメーテルが歌うのか?」とふと現実に戻されてしまったとしても、再現度の高い車掌とアンタレスがいること、圧倒的な美でねじ伏せるエメラルダスとハーロックがいること、リューズが美声でギターを弾き語りしてくれること、それがこの999の世界観を保ってくれている。
それが鉄郎としても心強かったと思います。

明治座というサイドにも席がある小屋型の劇場での見せ方という点では、見切れてしまう箇所が多いステージングに不満があるし、演出としては交通整理が足りなかったり逆に情報過多な部分もあり、ディレクションの確かさよりも、キャストの力量に依存する部分が大きいように感じてしまいました。

『銀河鉄道999』には少年の成長、恋、男と女、母親、死、夢...いろんなテーマが内包されていて、プレゼンテーションはワンテーマが基本と言われている現代において複雑過ぎると個人的には思うのですが(私が頭悪いだけか)、大きなくくりで言うと「人間讃歌」の物語ですよね。

クレアの純粋さに胸を打たれ、シャドウのこじらせっぷりになぜか共感を覚え、機械伯爵の狂気には、人間が生きる意味を考えさせられる。
永遠は哀しい。

限りある命を生きた人間のトチローだから、鉄郎に「本当の永遠」を教えることができる。
生身の人間が演じるということで、よりビビッドにその想いが伝わったのではないかと思いました。
それだけでも、舞台化した意味があったのかもしれません。

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